インテルやカルチョに関する話題多め
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今冬のメルカートで、この時期としては異例とも言えるビッグディールが成立した。

言うまでもなく、エディン・ゼコのヴォルフスブルク(ドイツ)→マンチェスター・シティ(イングランド)移籍のことである。


率直に言って不愉快だった。

まったく不愉快極まりない。

ゼコの態度が、ではない。
売却先のマンチェスター・シティが、でもない。

売却元のヴォルフスブルクの、ここ2年間の動きがである。


©VfL Wolfsburg-Fußball GmbH

以下の内容は、ヴォルフスブルクサポーターの皆さまであれば読まれない方がよいかもしれない。

内容はおよそ辛辣を極める。
愛するクラブがこともあろうに部外者から、これでもかと悪し様に言われるのは、見ていて気分がよいわけはない。
その点は、随分悩んだところでもある。

だが、一方で間違いなく存在する親愛の念からも、黙ってはおけない事態だった。
これもまたクラブ愛の一種とご理解いただければ幸いだ。


――では。
今回のコラムに関しては何ら言葉の装飾なしに、自分の思ったままのことを語ろうと思う。

これから数回の連載は、紛れもなくヴォルフスブルクに対する侮辱と憤怒で出来上がっている。
愛憎は常に表裏一体と言う。が、今回は後者の比重が圧倒的な内容となるはずだ。

そのことを承知していただける方のみ、しばし筆者の独白にお付き合い願いたい。


(1)ゼコとは

エディン・ゼコは、旧ユーゴスラビア連邦の構成共和国の一つであったボスニア・ヘルツェゴビナ社会主義共和国(現ボスニア・ヘルツェゴビナ)にルーツを持つストライカーである。

プレイスタイルは典型的なセンターFW。
スピードはさほどでもないが、打点の高いヘッドや強烈無比のパワフル・ショット、高い決定力とポストワークをも兼備した逸材だ。

今後5年、10年後に、世界最高峰の座に君臨していてもおかしくないほどの選手である。



写真はヴォルフスブルク時代のゼコ

彼の所属はドイツブンデスリーガの新鋭、“緑の狼”、VfLヴォルフスブルク

ウォルフスブルク、ヴォルフスブルグなど、発音に際してはいくつかのメディアで異なる表記がなされているが、当ブログでは今後“ヴォルフスブルク”で統一したい。

言わずもがな、後に日本代表のキャプテンへとスターダムを駆け上がった長谷部誠が浦和レッズから移籍したことで、一躍日本で脚光を浴びることになったクラブである。


ゼコはその恵まれた体躯、才能を同クラブで開花させ、日に日にその得点力に磨きをかけていった。

新興勢力であるヴォルフスブルクが2008-2009シーズンでリーグ優勝を果たすことができたのも、彼のような若く、才能豊かな選手たちが、猛将フェリックス・マガトの元で躍動したからに他ならない。

今思えばこのリーグ優勝の瞬間が、ゼコにとってもヴォルフスブルクにとっても、最も幸せな時間だった。

その後マガトは、完成された素材に興味はないとでも言わんばかりに、自ら同クラブとの契約を解消。
国内屈指の熱烈なサポーターを持つ(ドイツ有数の赤字クラブでもある)シャルケの指揮官となり、後に日本代表の内田篤人を獲得したことは周知の通りである。

翻ってヴォルフスブルクは、マガトの後任にアルミン・フェーを招へい。

前任者と同じく、補強からユース以下の世代の育成方針に到るまで、チーム運営の基本骨子を全面的にマネジメントさせる形態を存続させる。


これが、悲劇の始まりだった。


すべてを自ら“やりたがる”マガトに対し、フェーはもっとミクロなレベルで、自らの仕事を先鋭化させていくタイプの指揮官だ。

これは個人的な観点で見ると、よく言えば職人肌・・・悪く言えば器が小さい、ということである。

やることが多岐に渡り過ぎて、目の前の仕事に集中できなくなった職人が作った作品は、とてもまともな出来にはならない
この時点で、すでにチームには暗雲が立ち込めていた。

同時に、前任者マガトの元で大きな成功を勝ちとったチーム内には、明らかに弛緩した空気が流れていた。
マガトほどの実績もカリスマも持たない後任者にとって、これは極めて大きな負担になったに違いない。
2009-2010シーズンのヴォルフスブルクは、モチベーションと不安という、メンタルコンディション面の大きな問題に苦しむことになる。

結局ヴォルフスブルクはこのシーズン、念願の欧州CLのグループステージ敗退(しかも最終戦で!)を始めとした、燦々たる成績で終戦を迎える。
期待外れという点では、まさしくこのシーズン、リーグ最大のネガティブ・サプライズだったろう。

フェー監督は途中で解任。
後任者であるコストナーが必死に立て直しを図るものの、ことは後の祭りだった。

潤沢な資金を駆使し、各国代表クラスの有望なスター選手を集めているにも関わらず、
明らかにキレの足りない、時に覇気の感じられないプレーに終始する様は、多くのファンにフラストレーションを募らせたことだろう。

サポーターではない自分ですら不甲斐なさを感じたわけだから、生粋のファンの胸中いかばかりか。
察するに余りあるものがある。

○2009-2010シーズンを経て

さて、ゼコである。

話が少々前後するが、2008-2009シーズンの活躍によって、彼は一気に次代のスーパースター候補として注目を浴びることになった。

この年の夏、メルカートの最人気銘柄となったゼコの元には、当然の如く買い注文が殺到。
連日新聞ほか各メディアは、ACミランだユヴェントスだ、レアル・マドリードだと、次から次へとビッグクラブの名を挙げ、紙面を賑わすことになる。

こうした動きを受けて、元々ステップアップの意識が強いこのボスニアン・アタッカーの心が躍らぬわけがない。
本人も移籍に極めて前向きな姿勢を示し、中でもミランとは相思相愛とも言える関係にあった。


しかし、この動きを面白く思わなかった者がいた。
他ならぬヴォルフスブルクである。

彼らにとってゼコは、チームの今後の躍進、栄光の歴史の構築に必要不可欠な人材。
ましてや2009-2010シーズン、クラブはようやくに手に入れた夢の一番地、CLという国際舞台での戦いを控えている。

ヴォルフスブルクは当然の思考として、CLを勝ち抜くに必要な戦力を維持・強化しようと努めた。
そんな彼らだけに、無論簡単にゼコを手放す気はなかった。
移籍金にして実に3000~4000万€という、法外な値をつけて囲い込んだのである。
これなら万一買い手が現れても、ゼコの売却金によって新たにゼコと同等、もしくはそれ以上のタレントを獲得できると踏んでの値札付けというわけだ。


しかし、これまた当然の成り行きとして、ゼコに付けたれた値は常軌を逸した金額として受け取られた。

彼は確かに、目に見えて高いクオリティを備えていることがわかるストライカーだ。
筆者も自信を持って、世界のトップレベルを目指せる選手の一人と太鼓判を押すことができる。

他方、ゼコにはまだ圧倒的に経験・実績が足りない

特にこの時点では、国際的にはマイナーと言ってもいい選手である。
無論EUROやW杯、CLといった大きな大会も未経験だ。

にも関わらず、ヴォルフスブルクがゼコに前述した価格の値札をかけた。
大舞台でこれといった結果を残していない選手につける価格としては、まさに法外と言っていい。

こうしたヴォルフスブルクの動きを受けて、興味を示していた各クラブも一斉に退散。
結局ゼコは、このシーズンも緑の狼をユニフォームに背負って戦うことになる。


当初はこの一連の成り行きに、大きくゼコは気落ちしていた。

が、誇り高きボスニアンの血は、彼に長く下を向くことを許さなかった。

眼前にはリーグ戦、そして幼い頃から夢見てきたCLという舞台が、更に代表ではW杯の予選も控えている。
奮起しないわけにはいかない。

しかし前述した通り、昨季のヴォルフスブルグは散々な成績に終わってしまう。

シーズン半ばにして、早々に優勝争いから脱落。
更にW杯出場の夢も、プレーオフで強国ポルトガルによって断たれるという、まさに踏んだり蹴ったりの展開である。


限界だった。
この時期を堺に、ゼコははっきりと移籍願望を公に口にするようになっていく。

当然だろう。同シーズン、これだけ悲惨な状況下にあってリーグ得点王すら獲得した彼である。
自分が結果を出してもクラブが勝ちきれない現状・・・
ストライカーにとって、これほどストレスを感じる環境はない。

前年、イブラヒモビッチがまさに同じような状況下(インテルはカンピオナート自体は制していたが、CLではベスト16でマンチェスター・ユナイテッドに完敗していた)で、バルセロナへ移籍することを選んだのがその好例だ。
※参考までに述べておくと、イブラヒモビッチは旧ユーゴに属するセルビアとクロアチア人の両親を持つ。
代表国には生まれ育ったスウェーデンを選択した彼だが、元々のルーツはゼコと同じく、旧ユーゴの血族なのだ。



満たされない向上欲求と野心。

念願のビッグクラブへと移り、新たな環境でモチベーションを取り戻したい――と願っても、いったい誰が責められようか?


本人の強固な移籍願望。

W杯イヤー特有の、選手の大移動現象。

マガトが築き上げた、ヴォルフスブルクというクラブの成功サイクルの終焉。

もはや新興クラブのキャパに収まりきらない、ゼコというストライカーのスケールの大きさ・・・


あらゆる状況が揃いつつあった。


W杯南アフリカ大会がスペインの初優勝で幕を閉じた、2010年の夏――
彼の移籍は、もはや既定路線かに思えた。

続く


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【2011/01/10 23:42】 | その他特定選手に関すること
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悪名高き?
黒猫
こんばんは、ヴォルフスファンもどきですv-238

選手もフロントも大幅な入れ替えはない…ではなぜ勝てないのか?
代わったのは監督だ…では監督が悪いのか?

そんな流れに終始してるヴォルフスに、ファンも苛立ちを隠せてないのが現状のようです。

ゼコと、一つ前に移籍したミシモ、今回リザーブチームに降格になって移籍するジアニ
なぜ選手が最後まで踏ん張れないのか。
最後までファンが誇れる選手としていられないのか。

ファンも、不甲斐ないチームへの憤りは選手というより
考えるに値しないチームそのものの運営方針に傾きつつあるようです。

No title
KKGT-R
外国籍選手の移籍が地味だった時代から、尚且つ"中位力"なヴォルフスブルグの獲得は異色でしたよね。
バックの企業体質がそうさせるのかもしれませんが、
フロントに哲学が無いと、何やってもダメなんでしょうか。

No title
junchang
昔から(といっても新しいチームですからね!)補強に関しては失敗続きのイメージしかありませんでしたね!フォルクスワーゲンの広告塔としてひどかったのがアルゼンチンのダレッサンドロでしたね^^
長期的視野を持たずにその場しのぎで選手を獲得する典型的なチームでした。中途半端にお金持ちなのがたち悪いですね^^マガト監督はやるサッカーはそうでもないのですが、やっぱり、マネジメントは優秀だったんですね!

コメントありがとうございます
白面
>黒猫さん

なんか勢いで始めてしまった新連載ですが、こうして現役サポさんな黒猫さんの生の声をお聞かせ願えるのは非常にためになります。
やはり昨今の体たらく、忸怩たるものがありますよね・・・

何故選手が踏ん張れないのか、その理由を今後は解析していきたいと思っています。
ひとつご感想いただければ幸いです。

>KKGT-Rさん

フロントに哲学がない、というのは言い得て妙な表現かもしれません。

とにかく場当たり的で、どうにも腰が落ち着かない。
特定の方向性に沿って運営されているのではなく、場当たり的な対応に終始している感が否めない。

これだけ財政状況がよいクラブが何故・・・?
と、自分などは首をかしげてしまいます。その気になればもっと、いくらでも効率のよい運営ができるはずでしょうに、と・・・

お金を稼げることが、つまり優秀なマネジメント能力を持っていないと言ってしまえばそれまでなのですが(苦笑)

>junchangさん

そこはまさに、先日も触れさせていただいた「相性」の問題だと思うのですよ(苦笑)

個人的にマガトは決して好きな監督ではありません。
ですが、ヴォルフスブルクというクラブの体質、レパートリーには見事に合致していた。
その結果が、最終的にリーグ制覇という最高の形で現れたのではないかな・・・と。

一方でクラブは、その後確固たる方向性を見いだせないままでいます。
その点はちと、この機会にビシバシ追求しようかなと。

日本代表の中では贔屓に当たる長谷部選手が苦しむ様に、どうにも居ても立ってもいられなくなったものでして(苦笑)

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コメント
この記事へのコメント
悪名高き?
こんばんは、ヴォルフスファンもどきですv-238

選手もフロントも大幅な入れ替えはない…ではなぜ勝てないのか?
代わったのは監督だ…では監督が悪いのか?

そんな流れに終始してるヴォルフスに、ファンも苛立ちを隠せてないのが現状のようです。

ゼコと、一つ前に移籍したミシモ、今回リザーブチームに降格になって移籍するジアニ
なぜ選手が最後まで踏ん張れないのか。
最後までファンが誇れる選手としていられないのか。

ファンも、不甲斐ないチームへの憤りは選手というより
考えるに値しないチームそのものの運営方針に傾きつつあるようです。
2011/01/11(Tue) 00:56 | URL  | 黒猫 #-[ 編集]
No title
外国籍選手の移籍が地味だった時代から、尚且つ"中位力"なヴォルフスブルグの獲得は異色でしたよね。
バックの企業体質がそうさせるのかもしれませんが、
フロントに哲学が無いと、何やってもダメなんでしょうか。
2011/01/11(Tue) 08:25 | URL  | KKGT-R #-[ 編集]
No title
昔から(といっても新しいチームですからね!)補強に関しては失敗続きのイメージしかありませんでしたね!フォルクスワーゲンの広告塔としてひどかったのがアルゼンチンのダレッサンドロでしたね^^
長期的視野を持たずにその場しのぎで選手を獲得する典型的なチームでした。中途半端にお金持ちなのがたち悪いですね^^マガト監督はやるサッカーはそうでもないのですが、やっぱり、マネジメントは優秀だったんですね!
2011/01/11(Tue) 10:04 | URL  | junchang #-[ 編集]
コメントありがとうございます
>黒猫さん

なんか勢いで始めてしまった新連載ですが、こうして現役サポさんな黒猫さんの生の声をお聞かせ願えるのは非常にためになります。
やはり昨今の体たらく、忸怩たるものがありますよね・・・

何故選手が踏ん張れないのか、その理由を今後は解析していきたいと思っています。
ひとつご感想いただければ幸いです。

>KKGT-Rさん

フロントに哲学がない、というのは言い得て妙な表現かもしれません。

とにかく場当たり的で、どうにも腰が落ち着かない。
特定の方向性に沿って運営されているのではなく、場当たり的な対応に終始している感が否めない。

これだけ財政状況がよいクラブが何故・・・?
と、自分などは首をかしげてしまいます。その気になればもっと、いくらでも効率のよい運営ができるはずでしょうに、と・・・

お金を稼げることが、つまり優秀なマネジメント能力を持っていないと言ってしまえばそれまでなのですが(苦笑)

>junchangさん

そこはまさに、先日も触れさせていただいた「相性」の問題だと思うのですよ(苦笑)

個人的にマガトは決して好きな監督ではありません。
ですが、ヴォルフスブルクというクラブの体質、レパートリーには見事に合致していた。
その結果が、最終的にリーグ制覇という最高の形で現れたのではないかな・・・と。

一方でクラブは、その後確固たる方向性を見いだせないままでいます。
その点はちと、この機会にビシバシ追求しようかなと。

日本代表の中では贔屓に当たる長谷部選手が苦しむ様に、どうにも居ても立ってもいられなくなったものでして(苦笑)
2011/01/11(Tue) 23:51 | URL  | 白面 #kMr7ovrQ[ 編集]
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