インテルやカルチョに関する話題多め
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周囲も本人も、誰もが信じた念願のステップアップ――
しかしそんな願いを嘲笑うかのように、運命はゼコを翻弄する。

ヴォルフスブルクがまたしても、彼の放出を渋ったのである。


話はこうだ。
ヴォルフスブルクとしては、むしろ昨シーズンが大失敗に終わってしまったからこそ、そう簡単にゼコを放出するわけにはいかないと踏んだ。
前年同様4000万€という値札を掲げ、一応交渉のテーブルに着く姿勢は示しすものの、この金額以下ではいかなる商談にも応じないとした。

これが致命傷だった。

極めて強気な、もはや現状知らずの傲慢な姿勢と言ってもいいその態度に、あらゆるクラブがそっぽを向いたのである。

例えばゼコ本人の第一希望でもあった――その意味では相思相愛だった――ユヴェントスが撤退した。

ゼコ本人が最も望むということは、それだけ支払うサラリー等、条件面で融通が効くということだ。
にも関わらず、ビアンコネロが獲得レースから撤退したのは、ヴォルフスブルクの要求額があまりに法外だったために他ならない。

確かにこの年、セリエAに新たに設けられた、外国人選手枠縮小の影響はあっただろう。
元々ユーヴェはFW以外に、もうひとつの補強ポイントであったウイングハーフに、CSKAモスクワ所属のクラシッチを引き抜こうと画策していたからだ。

ゼコとクラシッチ、選べるのは一人までである。
貴重な枠は一人分しか空いていない。

ならばより現実的な金額で獲得できる、クラシッチを選択するのは当然の成り行きであったと言える。
一方でこうした一連の動きが、ゼコにとって面白いはずがないのも道理だった。

ジョゼ・モウリーニョを監督に招へいした、レアル・マドリードもそうだ。

毎年のように繰り返される、ビッグネームの乱獲で知られる同クラブ。
これは会長であるフロンティーノ・ペレスが、実よりも名を取るマーケティング重視の補強戦略を敢行してきたからに他ならない。
そこに現場の意思が介入できる余地は、これまでほとんどなかったという。

だが、歴代の監督たちと異なり、モウリーニョは(おそらく契約の段階で、約束が取り付けられていたのだろう)補強に関しても大きな影響力を持っていた。

事実彼らはこの夏、W杯で活躍したメスト・エジル(詳しくは左部リンク先、「のらりくらりの天才を見つめて。」様などをご参照いただきたい)や、国内の新鋭ペドロ・レオンらを2000万€にも満たない金額で獲得していく。
前年までのそれとは打って変わった、堅実路線へと舵を切ったのである。

そうでなくてもエル・ブランコは、前年の夏にCロナウド、カカーらの獲得に大きな出費を強いられている。
こんな馬鹿げたビジネスには、構っていられないという意向も当然あったのだろう。


こうして、ゼコを巡る市場の動きはほぼ完全に沈静化した

それもそのはずである。
参考までに記載しておこう。例えばあのスウェーデンの怪物ストライカー、ズラタン・イブラヒモビッチと、王国ブラジルの誇る超絶技巧ドリブラー、ロビーニョを獲得したミランですら、彼らの獲得に際して使用した金額は、現在のところ「彼らの年俸のみ」なのだから。

これはミランが、余剰戦力(より正確に言うなら不穏分子)となった彼らを、所属チームから引き取る形でレンタルしているためである。
それぞれの保有権を有するバルセロナとマンチェスター・シティから、一年後の買い取りオプション付きで借り受けているだけであり、買い取りオプションを施行しなければ(十中八九実行に移すはずだが)、彼らは元いたチームに戻るだけなのだ。

※詳しくはこちらをご参照のこと。

ちなみにその買い取り金額にしても、3000万€以下というのが現実である。
ゼコとは異なり、所属チームで数々の武功を挙げた彼らですらこうなのだ。各クラブの財政状況が、いかに冷え込んでいるのかがわかる。

こうした数々の事例からもわかる通り、世界的な経済危機、世界同時不況の影響は、今日のフットボール界を確実に蝕んでいる。
もはや一人の選手に、3000万、4000万€という値段をつけてマネーゲームを争うような、そうした時代ではないのだ。
ヴォルフスブルクの振る舞いが、いかに常識外れであったのかが知れようというものである。


○『想定内』と『想定外』なこと

こうして、ゼコは昨夏もヴォルフスブルクに残留することとなった。

売れ残りは、クラブ側にとっては想定内のことだったろう。
それはそれでよし、いっそしてやったり・・・といった感触だったに違いない。

何せこの夏、彼らはゼコというエースの慰留に成功しただけではない。
ユヴェントスからブラジルの誇るメガクラック、ジエゴを1500~600万€あまりという破格の値段で買い取りにも成功していたのである。
ジエゴは今更言うまでもなく、これまでドイツで毎年のようにMVP級の活躍を見せてきた逸材だ。



一般的な感覚で見れば、これは確かに大きな支出ではある。
が、ヴォルフスブルクほど経済状況に恵まれたクラブからしてみれば、まさにお手軽なバーゲン価格でしかない。
ユヴェントスがジエゴ獲得に費やした金額から、ちょうど1000万€弱を差し引いた程度の価格に過ぎないからだ。
ちなみに前年、ユヴェントスがブレーメンに支払った金額は、2450万€前後だったというのが通説である。


こうしてブンデスリーガが誇る、超攻撃的ユニットは誕生した。

かつてドイツを席巻した天才司令塔と、強力な決定力を持つスーパーストライカーの共演・・・
そんな華麗なる一団で演出を携わることになったのは、2009-2010シーズンのエールディビジ(オランダリーグ)でFCトゥベンテを優勝に導いた、スティーブ・マクラーレンである。



かつてイングランド代表を指揮した際にはプレッシャーに苦しみ、まさかのEURO予選敗退を喫して国内を追われるように去ったこの男も、新天地オランダでは伸び伸びと仕事をこなし、大きな成長の跡を随所に見せていた。

特に相次ぐ主力の引きぬきにあった中でも、シーズンを通して終始安定したパフォーマンスを維持した・・・
という点は、計画的なマネジメントの施工という意味でおおいに評価に値する。

まさに万全の態勢と言えた。
ヴォルフスブルクのフロントは、およそ考えられるベストの補強を行った!! ――と確信したことだろう。


だが、彼らはひとつ決定的なことを忘れていた。

フットボールが人によってもたらされる営みであるという、あまりにも当然の道理をである。

問題となったのは、監督、コーチ、選手たちといった、現場で働く人たちすべての事情。


取り分け、ゼコの気持ちだった。

続く

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【2011/01/11 23:40】 | その他特定選手に関すること
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No title
junchang
あいかわらず人を引き込むような文体感嘆いたします!
続きが気になりますね!
しかし、ヴォルフスブルグはチームのフロントがヘーネス氏をGMに招いた効果が出てませんね!

ありがとうございます。
エリトナン
読んでいてびっくりしました。
ご紹介ありがとうございます。嬉しかったです!

白面さんの力のこもった記事やひきつける文体に、
私のようなもののブログが雰囲気をこわさないかと、とても恐縮しております。

記事には続きがありますので、次回が、楽しみです!

クラブと選手との関係はビジネスではありますが、
金儲けの道具に過ぎないという現状に、一番被害を受けるのは、選手だと考えさせれました。


ふむふむ
岩氏
続きが読みたい(笑)

白面さんだんだん物語がレベルアップしてますな。
これ普通にサッカー詩のコラムとかにあっても全然違和感無し!!

もぅそういう仕事しちゃいなよ(笑)


ゼコのマン・C移籍の件は岩氏も気になってたところです。ガンガンいっちゃってくだせぇb

コメいつもありがとうございます
白面
>junchangさん

恐縮です。
自分のは所詮これまで見てきたフットボール関連書籍の、粗悪な模造品に過ぎませんが(苦笑)
それでも使いこなれれば、いずれは自らのものになって違和感もなくなると思い、書いております。

ヘーネスは自分も気になっていたところなのですが、如何せん情報が少なすぎて具体的に彼がどう関わっているかはまだ不明瞭ですね。
ドイツ語でもできれば、また違うと思うのですがw

>エリトナンさん

勝手な引用申し訳ございません;
事後承諾でも謝りにと思ったのですが、先に来て頂けるとは・・・まったく恐縮至極です(´・ω・`)

時間の許す限りで、ぼちぼちと更新していきたいと思います。
よろしくお付き合いください。

>岩氏さん

こんなもん公に出して、名誉毀損で訴えられたらまずいかです(笑)

それにまずは外国語の勉強をまともにできないと、自分の自分の望む方面にはとても・・・ですね。
夢想することはあっても、目標になるレベルにはまだまだ遠く達しません;

ありがとうございます。
ぼちぼちと進めていければと・・・w



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コメント
この記事へのコメント
No title
あいかわらず人を引き込むような文体感嘆いたします!
続きが気になりますね!
しかし、ヴォルフスブルグはチームのフロントがヘーネス氏をGMに招いた効果が出てませんね!
2011/01/12(Wed) 10:50 | URL  | junchang #-[ 編集]
ありがとうございます。
読んでいてびっくりしました。
ご紹介ありがとうございます。嬉しかったです!

白面さんの力のこもった記事やひきつける文体に、
私のようなもののブログが雰囲気をこわさないかと、とても恐縮しております。

記事には続きがありますので、次回が、楽しみです!

クラブと選手との関係はビジネスではありますが、
金儲けの道具に過ぎないという現状に、一番被害を受けるのは、選手だと考えさせれました。
2011/01/12(Wed) 15:59 | URL  | エリトナン #-[ 編集]
ふむふむ
続きが読みたい(笑)

白面さんだんだん物語がレベルアップしてますな。
これ普通にサッカー詩のコラムとかにあっても全然違和感無し!!

もぅそういう仕事しちゃいなよ(笑)


ゼコのマン・C移籍の件は岩氏も気になってたところです。ガンガンいっちゃってくだせぇb
2011/01/12(Wed) 23:15 | URL  | 岩氏 #-[ 編集]
コメいつもありがとうございます
>junchangさん

恐縮です。
自分のは所詮これまで見てきたフットボール関連書籍の、粗悪な模造品に過ぎませんが(苦笑)
それでも使いこなれれば、いずれは自らのものになって違和感もなくなると思い、書いております。

ヘーネスは自分も気になっていたところなのですが、如何せん情報が少なすぎて具体的に彼がどう関わっているかはまだ不明瞭ですね。
ドイツ語でもできれば、また違うと思うのですがw

>エリトナンさん

勝手な引用申し訳ございません;
事後承諾でも謝りにと思ったのですが、先に来て頂けるとは・・・まったく恐縮至極です(´・ω・`)

時間の許す限りで、ぼちぼちと更新していきたいと思います。
よろしくお付き合いください。

>岩氏さん

こんなもん公に出して、名誉毀損で訴えられたらまずいかです(笑)

それにまずは外国語の勉強をまともにできないと、自分の自分の望む方面にはとても・・・ですね。
夢想することはあっても、目標になるレベルにはまだまだ遠く達しません;

ありがとうございます。
ぼちぼちと進めていければと・・・w

2011/01/12(Wed) 23:22 | URL  | 白面 #kMr7ovrQ[ 編集]
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