インテルやカルチョに関する話題多め
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(2)タスクの振り分け、セクションの区分

何もフットボールクラブに限ったことではなく、企業や公共団体など、すべての集団に言えることと思うのだが・・・

“群体”の問題個所とは、行動理念に掲げた「目標」及び、それを達成するためにとった「行動」の内容、
このふたつの点を具体的に考察してみることで、はじめて特定できるものと筆者は考えている。
どれほど崇高な目標を立てていようと、実行段階で問題が生じてしまっては何にもならないし、またどれほどクオリティが高くとも、各行動が目標に沿っていなければすべては無意味だ。

では2009-2010シーズンを迎えるに当たって、この時ヴォルフスブルクとその指揮官フェーは、どのような目標を達成せんとしていたのか。

当然のことながら、まず目の前の成績は必要になってくる。
リーグ戦は勿論、この年がクラブ史上初となる欧州CLでの戦いをできる限り継続すること、加えて可能であれば国内カップ戦を狙う・・・そういうことになるだろう。

その他、中~長期的な目標実現のために、指揮に関して何か要求があっただろうか?

例えばそれは若手選手の育成であったり、来年、再来年を見越したチームづくりであったりする。
中には特定の選手を引き立てるよう、目立たせるようマネジメントを依頼するケースなどもある。
イタリアなどでは頻繁にオーナーが現場介入し、ああしろこうしろと注文をつけるのがニュースとなったりするわけだが、この種の動きもここにカテゴライズされるものだ。

が・・・
少なくとも筆者の知る限り、ヴォルフスブルクはフェーに何か、特別な要求を行ってはいない。

無論、詳細は不明である。
しかし指揮官やクラブ幹部の発言を見る限り、目の前の結果を得る以外に、何か特別なプロジェクトを同時進行しているようには思えなかった。

よって、トップチームの舵取り方針は極めて単純明快。

各コンペティションで、予算に見合った結果を出す

という一点に集約されていた・・・と考えるのが妥当だろう。
勝ち点さえ稼げれば、指揮官が自由にチームをマネジメントして構わないと、極論で言えばそういうスタンスになる。



どちらにしても、フロントが指揮官に余計な注文をつけず、意思に沿う形で各種マネジメントを阻害しないよう配慮したという点で、このセクションに問題と言えるような問題はない。

ではいったい何故、フェーのマネジメントは頓挫し、チームは機能不全に陥っていったのか?

無論、本人の手腕、人柄など、多くの問題がそこには介在しているのだろう。
しかし今回は、あえてそうした個人の問題ではなく、クラブ全体から見た各セクションの在り方、つまり戦略レベルから同クラブの問題点を探った。


●「適材適量」の意味

結論から言おう。
フェーのマネジメントが頓挫した理由の一端は、

監督が通常こなすべき、現場』“以外

の仕事・セクションに目を向けることで見えてくる。
つまりは、

ピッチの外の仕事を含めて、指揮官の許容量以上のタスクを押し付けた

ことが、すべての悪しきサイクルの始まりとなったのだ。
少なくとも、筆者はそのように考えている。


例えば補強である。

選手の取捨選択に関して言えば、基本的に同クラブは一定以上に現場の意見を取り入れた形で補強を行っている。
(余談だがこの点は、現場の意向を無視した独りよがりな動きに終始するオーナーも多いカルチョの住人として、非常に羨ましく感じるところだ)
選手と誰よりも長く接している、監督・コーチの意見=現場の目線を補強に反映させるというのは、言うまでもなく理に叶った方法だろう。

しかしこの時、指揮官に

実質的な補強の全権

を与え、その運営まで担わせるというアプローチはいかがなものか。

無論、フェーが直接各リーグ各チーム、各選手のリストアップを行うわけではない。
フェーが行ったのはあくまでマネージャーの立場に留まるもので、リストアップに際する条件(ポジション、プレイスタイル、あるいは国籍などもこれに入る)を提示し、予算の調整を行い、このセクションを直接・間接的に関わる役割だ。

しかし、こうした総合的なマネジメントの経験がほぼ皆無だった彼に、就任直後から

補強部門の仕事=時間的・心身的負担

を課すというクラブの判断には、素人である自分ですら首を傾げざるを得ない。

言うまでもなく、この時点でフェーには

補強以前に取り組まなければならない仕事

があるからだ。

状況の相違を考慮すると、単純な比較はできないが・・・
例えばあのジョゼ・モウリーニョですら、インテル指揮官就任直後に手を出し口を出した補強で、
新戦力の多くが使い物にならなかった
という大失敗を犯している。

言うまでもなく、その最たる例がクァレスマだ。
ムンタリはまだ貢献できた方ではあるが、それにしてもレギュラーに定着できたわけではない。
※チームに加わって3年目の今年、とうとう満足に出番を得ることができないまま、新天地サンダーランド(イングランドプレミアリーグ)へレンタルでの移籍を決めている。

こと費用対効果という観点から考えれば、モウリーニョが就任初年度に自らの肝いりで獲得した選手たちの出来は、完全に落第点だった。

この失敗は

・インテルというクラブの性質
・そこに属する選手たちの特性
・セリエAというリーグの性質

・・・等々のファクターを熟知できていないうちに、言わば先入観・思い込みでマーケットに繰り出し、選手たちをカゴに入れていった結果として引き起こされたものに他ならない。
(尤もモウリーニョの場合はしっかりとこの時の失敗を教訓化し、その後の2年間におおいに役立ててはいるが)



こうしたケースに明らかなように、本来補強とはあくまで文字通りの

補強・補填

という形で施工されるのが基本である。
どれほど資金力のあるチームでも、チームを丸ごとひとつ0から作り上げるような買い物は、現実的に不可能なのだ。

よって新たに就任した監督の場合、まず行うべきは

その時点でチームにいる選手たちの特性を把握

することであり、ただちに市場に目を向けることではない。

日々の練習に模範的に取り組む“フォロワー”の獲得や、システムの基本骨子となるセンターラインの補強など、
戦術面以外にマネジメント面にも影響する“愛弟子”を1人か2人獲得するといった場合はともかく、少なくとも筆者の価値観に照らし合わせて言えば、新任指揮官は補強というタスクに多くの労力を割くべきではないだろう。

むしろ市場に労力と時間を割いた分だけ、現場の選手が

自分たちをちゃんと見てもいないのに、そんなにこの監督は他の選手が欲しいのか!?

と、反発することは必至となる。
新戦力が必要ということは、それだけ元いた人間の能力に満足していないという証拠となるからだ。


さて・・・

ここまでお話ししてきたような、ピッチ外の仕事にも関わり、チーム単位ではなくクラブ単位のタスクにも携わるような指揮方法を、筆者は便宜上

総合マネジメント

と呼んでいる。
これは現時点で間違いなく世界最強の指揮官の一人、ジョゼ・モウリーニョですら一筋縄ではいかないような、実に困難なチャレンジである。

否・・・その言い方も正しくないかもしれない。

より正確に言えば、そもそものジャンルが違うのだ。
ピッチの中のことに集中して仕事に取り組むのと、クラブ全体の運営を含めてチームを統括するのとでは、短距離ランナーと中距離走者、原動機付自転車と自動二輪ほどの違いがある、と称した方が適切だろうか。

この両者を

フットボール監督



フットボール総合マネージャー

にでも分けるとすれば、多くの指揮官は前者に該当し、一部の優れた指揮官だけが両方の特性を併せ持つ。


言うまでもなく、フェーにはまだ総合マネジメントの経験はなかった。

監督としてはともかく、フットボール総合マネージャーとしての手腕はまったく未知数、言い換えれば素人である。

そんな素人にクラブ運営、つまり

戦略レベル

のタスクを、いとも簡単に与えたのはいかがなものか?
筆者にはそれが疑問でならない。


繰り返し恐縮だが、フェーであろうと誰であろうと、人選の時点でそれがすなわち過ちになるというわけではない。
熟慮すべきは

指揮官のタイプ、能力を見極め、

どこまで仕事を押し付けるべきか?

何については権限を与えるべきなのか?


という点である。
この点で、ヴォルフスブルクは大きな失敗を犯していたことになる。


クラブはあまりにも無造作に、前体制をほぼそのままの状態でフェーに引き継がせ、適正の有無もまともに調べないままに彼に総合マネジメントを任せてしまった。
つまり
仕事の配分
を間違えてしまったと言うことができる。

同時に彼らはフェーが最もその能力を効果的に発揮することができる、理想的な環境の構築も怠ってしまった。

シュトゥットガルトがフェーの元で優勝を果たした時、フェーはどういった体制で仕事をしていたのか?
何故成功のサイクルがチームにもたらされていたのか?

そういった成功要因をしっかり検証し、よい部分をヴォルフスブルクで再現しようという工夫はまるで感じられなかった。
こんな行き当たりばったりのマネジメントを行っていては、成功が覚束無いのも道理というものである。




○更なるifを追求したとて・・・

あるいは、元々ヴォルフスブルクというクラブが、監督にすべての権限を一体化させて運営することを念頭に置いたマネジメントを行うと決めていたのであれば?

この場合は運営方針に一貫性が生まれる一方、監督人選の時点で、大きな失敗を犯していることになる。
今度こそフェーの招聘そのものに、大きな疑問符がつくことになるだろう。

何故過去、そうした経験を持ったことのある人物を探しだそうとしなかったのか?

という点の追求を免れないからだ。

確かにマガト前監督には、コーチとして考えられるおよそすべての権限を与え、その結果としてクラブは大きな栄光を手にした。
指揮官、マネージャー、スポーツディレクター・・・
チームの指揮から新選手のスカウト、はては人材の配置権まで、マガトの望むすべてを与えた結果、クラブ史上初のリーグ優勝を成し遂げたことは事実だろう。

しかし、アルミン・フェーという人物は、マガトとは経歴もスタイルも、何よりも本人のキャラクターがまったく異なる人物である。

昨夏、モウリーニョの後任にラファエル・ベニテスを招聘したインテルにも同じことが言えるが、

クラブの体質、選手の特性を考えずに指揮官をあてがえば、

チームにはなんらかの形で必ず悪影響が出る


ものだ。

大前提となるのは、クラブが今後十数年に渡って継続して取り組んでいくべき長期的なプロジェクト&ビジョン。
ヴォルフスブルクに欠けていた、あるいは足りなかったものは、まさにこうした長期的な強化計画に他ならない。


これは何もヴォルフスブルクに限らず、すべてのクラブに言えることだが・・・

こうした大きなレールに特性が合致する人物でなければ、つまり相性のよい人材でなければ、どんな名選手も名監督も使い物にはならないのだ。

荒れ地で無類の強さを発揮する超高級マウンテンバイクも、平地でアスファルトの上を走らせれば、廉価版のオンロードマシンに大きく遅れを取ってしまうように、
他のリーグ、他のチームでどれほど活躍できていた指揮官であっても、リーグへの適応力、クラブの特性、現場に今いる選手たちとの相性といった要素の数々。
そのひとつにでも齟齬を抱えてしまえば、円滑なマネジメントは阻害されることになる。

人材の見極めは、フロントがいかに自分たちの計画を具体化できているか?
現段階で計画がどこまで達成されているのか、あるいは計画に問題が生じているのか?

そうした現状認識に基づいた、人材のチェックが行えているか否か――
まさにこの点にかかっている。

だからこそ有識者たちは、口を揃えて

「すべてのクラブに必要なのは、“長期的なスパンに則った強化策”だ」

と言うのだ。


それでも新たな可能性に賭けてみると決めてクラブが動いたのだとすれば、その決定にいっそ腹をくくることはできる。

誰だってはじめは素人なのだ。
フェーにその適正があると信じ、そのために全力で周囲が支えると決めたのであれば、それはそれで決断を尊重しよう。

しかし彼が行き詰まった時、失敗した時にどうやってチームを立て直すか? というテーマ・・・
いわゆる

リスクマネジメント感覚の欠如

は大きな問題だ。

ヴォルフスブルクには事がうまく運ばなかった場合に備えた、ニの手三の手がどこにもない。
これはもう、どう状況を考慮しても申し開きの叶わぬ失態である。

同クラブのこうした体質には、とある理由があるのだが・・・
それについて語るのは、残念ながら次回以降ということになる。


なんにせよ、実際に対処が遅れた結果、チームはシーズンを取り戻すことができなかった。
最低限のノルマとしていた5位以内、ヨーロッパリーグの出場権すら獲得できなかった事実の前には、如何なるエクスキューズも通用しない。

そして、今シーズンもまた――

今後いよいよゼコの一件について語ろうというこの時期に、降格圏に沈まないことを今は切に願うばかりである。

続く

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ぶっちゃけ、今回とか相当に出来がよくないですorz

手直しに手直しを重ねても、なかなか納得のいく出来にならず――
それでもこれ以上お待たせするのもまずいと思い、恥をかく気でこうして表に出しております。

なかなか本調子が戻ってこない状態ではございますが、気力が続く限りは続けますので、どうか応援のほどよろしくお願い致します。。。

【2011/02/09 00:50】 | マネジメント
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2011/02/09(Wed) 21:00:18 | 
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