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(3)ゼコの一件に窺える、同クラブの問題点

さて、ゼコである。
彼の取り扱いに見える、ヴォルフスブルクというクラブの意識の問題について、ここで言及しないわけにはいくまい。



詳しい経緯は、こちらをご参照していただくこととして――

ヴォルフスブルク側としては、チームが予想に反した低迷を見せる中、ゼコの存在は必要不可欠と考えたのかもしれない。

だが、それは違う。
違うのである。

だとすれば彼らは、フットボールをゲームという側面でしか見ていない。
そこでプレーする

“人間”

の気持ちを、まったく考えていないことになる。

前提としてゼコは、このクラブ、このリーグで戦うことに明らかな限界を感じていた。
傍目から見てもそれは明らかだ。
自らが内のモチベーションを、燃やし尽くして戦ったのが2009-2010シーズンだったのである。

それ以上の酷使は、神にも匹敵するほどのモチベーターでもいない限りは不可能だ。

フットボール界屈指のモチベーターとして知られるジョゼ・モウリーニョですら、
“ヴォルフスブルクで指揮を執る”
という条件下では、ゼコのモチベーションをどれだけ補填できたかは疑わしいものがある。


選手のことを真摯に見ていれば、どう考えてもゼコが変化を必要としているのは明らかだった。
それを見越した売却ができなかった点は、ヴォルフスブルクというクラブが財力や組織整備という点ではともかく、

フットボールクラブが備えているべき感覚・カルチャー

という点で、まだまだ発展途上の未熟なクラブであるということを露見させた一件だった。

お前はクラブと契約した選手だろう! 何故100%クラブのために働かない!?

とフロントが考えていたのだとすれば、それはもはやパートナーシップではない。
選手は奴隷ではないのだ。

彼らにはチームの決定に従う権利と同じく、理不尽な扱いに対抗する権利もまた存在する。
その点を彼らは忘れている。


・・・確かに、気持ちはわからないでもない。

クラブが誇るメガクラックを先頭に、好機を逃すまいと頂まで駆け上がろうとする、その心情はおおいに理解できる。
その野心、夢。これらが成功のために必要不可欠なファクターであること、これは当コラムの序章で書いた通りでもある。

が、それもすべては、現場のモチベーションあってのことだ。

同一クラブにおいてピッチの中とピッチの外とで状況の認識に差が生じれば、その分だけ群体には無理が生じていくことになる。


これは言わば、避けられない変化なのだ。

ヴォルフスブルクというクラブのキャパシティ、経歴、更には国言語文化価値観、そういったすべてのものを含めて総合的に考えた結果、ゼコは同クラブで戦うことに限界を感じていた。
どんなに幸せで充実して“いた”職場であっても、別れの時というのはいつでも訪れる可能性がある。
今回のケースはまさにそうだった。

そもそも2009年の夏の時点で、すでに彼の心は外に傾きつつあったことは周知の通りである。
一年後の昨夏、もはや叛意させることが不可能なのは傍目から見ても明白だったはずだ。

一般企業であっても、退社の意思を固めた者を引き留めきることはできないように・・・
そう考えていただければわかりやすいかと思う。
契約体系こそ違えど、こと

人の内なるもの=モチベーションの焼失

というファクターは、あらゆる労働者に共通した、雇用主との終焉の合図となる。

どれほど優良な人材であっても、日々の営みに喜びを見出せなくなってしまった時点で、その職場との関係は終わるものである。
フットボーラーのように、契約が年数単位で区切られるような関係であれば尚更だ。


このようなケースは、すべての選手、すべてのクラブに起こり得る問題である。

ビッグクラブに移籍したい、新たな環境で戦いたい(欧州のトップリーグへ移籍を願う選手が、世界中にどれだけいるのかを考えればわかることである)、自分の価値を証明したいと願うものである。
フットボーラーとして、およそ当然の欲求だろう。

キャンバスにより大きな絵を描きたいと願っても、元々のサイズが小さくては、絶対にその願いは叶わない。

中にはキャンバスを広げることに意義を見出す選手――
例えばクラブ初のタイトル獲得を願って川崎Fに残留を決めた中村憲剛であり、最後までローマを離れようとしなかったフランチェスコ・トッティであり、父も所属した故郷のクラブに、骨を埋める覚悟で戻ったファン・セバスティアン・ベロンらのことを指す
――もいるが、彼らはそもそもその土地で育った、あるいはクラブに育てられたなど、特別な関係を持つ選手ばかりである。

クラブにとっては不幸なことに、ヴォルフスブルクとゼコはそういう特別な関係にはなかった。

クラブはゼコに恋慕していたのかもしれない。
簡単に離してなるものかと固執していたのかもしれない。

だが、ゼコにとっては違った。
ドイツの片田舎にあるこのクラブは、彼にとってはステップアップのベース、通過点のひとつに過ぎないものだ。


しつこい相手は嫌われる。

およそ考えられる、すべてのコミュニケーションにおける当然の理である。

続く

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【2011/02/09 22:54】 | マネジメント
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No title
チャペル
なんか読んでて人生勉強になるブログは久しぶりです。
確かにモチベーションのない選手はクラブにとってそれほどのプラスにはなりませんし、チームの雰囲気を悪化させる恐れもありますよね。

Re: No title
白面
お久しぶりです!
楽しんでいただけたのでしたら幸いです。

モチベーションを復活させられるだけの余地が残っていればともかく、周囲に悪影響を及ぼすだけになってしまった選手はもう即時切り落としをはかるべきですね。

そこら辺はクラブの才覚によるところも大きいかと思います。
いかに円満に別れられるかも、一流とそれ以外を分ける条件なのかな・・・と。

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コメント
この記事へのコメント
No title
なんか読んでて人生勉強になるブログは久しぶりです。
確かにモチベーションのない選手はクラブにとってそれほどのプラスにはなりませんし、チームの雰囲気を悪化させる恐れもありますよね。
2011/02/10(Thu) 00:17 | URL  | チャペル #-[ 編集]
Re: No title
お久しぶりです!
楽しんでいただけたのでしたら幸いです。

モチベーションを復活させられるだけの余地が残っていればともかく、周囲に悪影響を及ぼすだけになってしまった選手はもう即時切り落としをはかるべきですね。

そこら辺はクラブの才覚によるところも大きいかと思います。
いかに円満に別れられるかも、一流とそれ以外を分ける条件なのかな・・・と。
2011/02/10(Thu) 21:58 | URL  | 白面 #-[ 編集]
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