インテルやカルチョに関する話題多め
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※ 代表論-システム編-(序)「高度な組織化=強化は誤り」 より続く

(2)“異端児”ビエルサ・チリ

ビエルサの率いたチリ代表は、昨今では珍しい3バックを採用していた。
しかも前線に3人、ウィンガーに性質の近いFW2人とCF1人をトライアングルに並べる、3トップを同時にピッチに送り出すのを常としている。

すでにお気づきの方もいらっしゃるかと思うが・・・
そうなのだ。
このシステムはつまり、現日本代表で試されているもの――

3-4-3

の布陣と言っていい。

日本代表にザッケローニが提示したモデルと異なるのは、守備の局面で一時的に4-3-3に変更(バルセロナでも同じようなことをしているが)する、いわゆる3-4-3に主流の守り方ではなく、1アンカーを中盤底に置く3-1-3-3、あるいはトップ下を中盤の3人がフォローする形の3-3-1-3に近い形で、それが施工されているという点だ。
どちらにしても、中盤をひし形の形に保ち、これが3トップと連動して、前線から激しいプレスをかけていくという点では共通している。

最大の特徴は、過去類を見ないほど大きく開かれたサイドのスペースだろう。

画像を見ていただければわかるとおり、近代フットボールにおいて鉄則ともされる両サイドのスペースを、これだけ大々的に開いたチームは、クラブシーンでもまずお目にかかれまい。
サイドハーフを中盤に配置し、膨大な運動量で攻守への貢献を要求する3-4-3の“一般常識”も通用しない、超特異な布陣である。

一般的3-4-3
※一般的に認知されている3-4-3

ビエルサ型3-4-3
※マヌエル・ビエルサ監督率いるチリ代表の3-4-3


同システムをまともに機能させるためには、各人が自らのタスクを完璧に把握し、迅速な状況把握と判断をこなすことが前提条件となる。

その上で前線から連動してプレスをかけ、プレスを掻い潜られても何人かがそのフォローに周り、再度スペースを埋めてからまたプレッシングをかけていく・・・
あまりにも強烈、自己主張の激しいフットボールである。

ボールを奪った後も、相手の配置・自分たちの状況に応じて、ポゼッションかダイナミズム重視の縦への突破かを、全員で図ることになる。

これほど膨大な量の情報を処理し、同時に

連動した運動

をイレブン全員に要求する代表チームを、自分は他に知らない。

これが機能すれば、魅力的にならないわけがない・・・
昨年の南アフリカW杯で、チリ代表の戦いをご覧になられなかった方も、機会があれば是非一度、そのシステマティックな動きをご堪能いただきたいものである。


他方、前述してきた通り、このシステムは心身に強烈な疲労を強いるものである。
とにかく集中力を切らさず、迅速に状況を確認、行動を取捨選択しなくてはならない。

この

迅速な行動の選択

の施工自体は、何も珍しいことではない。
クラブシーンならジョゼ・モウリーニョのインテル、アレックス・ファーガソンのマンチェスターUなども、この条件に当てはまるチームと言える。

しかしながら、彼らが

極力無駄を廃し、行動の取捨選択をやりやすいシステム追求

した上で選手にそれを要求するのに対し、ビエルサのチリ代表は、これだけ複雑怪奇なシステムを採用した上で要求する、という点が大きく異なる。

トランジションを重視したスタイル下では、攻守の切り替えの速度を高いレベルで保ち、かつ自然にそれを行えるようにするために、一人一人の動きの練度を高める一方、極力それをわかりやすい(単純化した)ものにしなければならない。

でなければ迷いなく、行動の取捨選択を行うことが難しくなる。
連携が取りにくくなるのも道理というものである。
(あまりにも機能的、あるいは機械的に過ぎ、時に退屈・・・もしくは創造性に欠けるフットボールと揶揄されることもあるが、効果的という点だけは疑いようがない)


筆者の言わんとするところを、すでに察せられた方もいらっしゃるかと思うが――
つまりビエルサは、その両方を実現しようとした人物なのだ。

創造性があり、かつシステマティック・・・
本来なら相反する性質を持つ両者を同時に実践しようとした試みは、ある意味では非常に趣味的とも言える。
そんな特異なチーム、それが彼の率いたチリ代表だったのだ。



その根底に、どういった意思・思想が働いていたのかはわからない。

とことんまで自分の色を追求したのか?
あるいはそうしなければチリ代表が国際舞台で勝ち切れないと踏んでのことなのか・・・
そこは本人に直接聞いてみるしかなかろう。


だが結局、同チームは国際舞台においては、良くも悪くも「クセモノ」にしかなり得なかった。


国際大会というのは、往々にして短期間の中、短い間隔で多くの試合をこなすことを余儀なくされる。
このような舞台で決勝まで勝ち抜くためには、

1試合1試合ごとの疲労を、極力小さいものに留めなければならない”。

短時間で可能な限り回復できるよう、可能な限り運動量を削ることで身体の迅速な回復を、可能な限り情報処理の量を減らすことで、脳の回復時間を早められるスタイルであることが望ましい。

それができなければ、当然疲労が重なれば重なるほど、そのチームはパフォーマンスを大きく落としていくことになる。
体のキレが鈍り判断が遅れれば機能性が下がり疲弊が即時チームのクオリティ低下に繋がる
至極当たり前の話と言えよう。

特定の個に依存せず、組織力で持って攻防のクオリティを手に入れたチームは、逆にそれだけ個々の負担が大きくなる。

本来10の力しか持たない者が、相乗効果で一人当たり15~20の働きを“擬似的”にでも実現しようとすれば、それだけ心身には無理が生じるからだ。


現日本代表の押しも押されもせぬエース、本田圭佑などは言う。

最後にものを言うのは個の力

であると。
(個のテーマに関しては、相互リンクいただいている岩氏様のサイトなどでも取り上げられた話題だが・・・
当サイトでは、今回は語る時間もないため、言及は避けることにする)



勿論、この言葉には複数の意味があるのだろう。

が、ひとつ確実な真実として、

どれほど集団が結束し、組織力を高めて高レベルのチームを目指したとしても、結局は限界がくる。

圧倒的な能力を持っている強豪チームに、凡夫の群れが対抗しようとすれば、その分だけ無理が生じる。

一人ひとりが戦術を逸脱したレベルの武器を持つ、あるいは
消耗の少ない、連携効果はそれほど高くないが効率性が高い、長期戦向け
のシステムを採用して勝ちきるためには、どうしても
局面打開用
に、個人の力が必要不可欠になる


と・・・
そんな意味合いが含まれているよう、自分には感じられるのだ。


結論から言えば、代表チームを強くしようと思うのであれば、組織力・システムの高度なメカニズムに解答を求めるのは誤りである。

残酷な言い方になるが、

雑魚がどれだけ創意工夫しても、最低限組織されたエリート集団に連勝できる芽はない

ということになる。

近年これだけ情報のグローバル化が進み、代表チームも組織化が進む中、もはや前世紀のフットボールのような革新的な手法は生まれ得ない。

――否。
まったく不可能とは言わないが、極めて困難かつ実現性・可能性の薄い道と言うのが正しいか。

続く

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【2011/04/17 21:54】 | フットボール叙事詩
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ふむ。
岩氏(いわし)
続きが来るまで待ってようと思ったけど名前がww

おっしゃる通りですなぁ。
チリのサッカーは衝撃的でしたが、戦いを重ねる毎にパフォーマンスが落ちていきましたからね。

>とことんまで自分の色を追求したのか?
あるいはそうしなければチリ代表が国際舞台で勝ち切れないと踏んでのことなのか・・・


個人的には後者のような気がしていますが、果たしてどうだったのかは本人のみぞ知るってやつですね。


本田の言っている意味も、自分は白面さんと同意見ですね。きっとそこまで見えているのだと感じます。

No title
junchang
ピエルサのサッカーには賞賛を送ったうちの一人です。
特にチリVSホンジュラスの試合は見ごたえがありました!(TBSで放送すると知ったときは「うわっ何て地味な試合」と大国主導主義ばりばりで馬鹿にしてしまいましたが^^)

短期勝負に勝つためには戦術云々よりも選手たちのモチベーターになることが出来るかが監督としての力量だと思っていましたが、時間さえかければ見事なサッカーを披露することは可能なんですよね!
かつてアリーゴサッキがアズーリにて失敗したのは時間のなさでした^^

クラブチーム=代表と呼ばれる国があり、その国の代表は見事なサッカーを見せてくれた理由はまさにそこなんですよね・・・・アヤックスとオランダ代表の監督を兼務した故リヌス・ミケルス監督がトータルフットをいともたやすく本番で披露したように(アヤックス時代は大変だったようですが)

ピエルサ監督はアルゼンチンでも戦術家として有名でしたが、どちらかといえば若手を伸ばすことに長けた監督として認識していました。が、僕もこの大会では印象がガラッと変わりましたね!ただし柔軟性に少々かけるところがあるようですね^^

コメント、ありがとうございます
白面
>岩氏さん

ごめん、無断でリンク貼っちゃった(笑)

そういうわけで・・・
チリ代表は、ほとんど唯一白面が戦術的に見るべきものがあるチームでした。
でも、一方でそんな趣味的なチームが勝ち上がれるわけもなく(-_-;)

チリ代表そのもので言えば、ビエルサが退いた、これからがまさに重要。
あくまで一過性のものだったのか、それとも今回こうして作られた価値観を今後も大事にしようとするのか・・・?

後任の采配含めて注目です。

>本田△

システムを効率化しろとまではいかないけど、個人技がなくちゃ結局局面打開はできない、っていう意味合いは絶対あると思ったw
なかなかメディアに対してあれこれ具体的に語ろうとするタイプでもないから、あくまで方向性は、って形で押さえているだけなんだけどね・・・現状(^^;

>junchangさん

楽しんでいただけたようで何よりです。
ワールドカップは大国関連の試合にむしろ興味がほとんど沸かず、マイナー国を中心に漁っていた自分です(笑)

サッキは一度、本格的に勉強したいのですよ;
何せ間違いなく、掛け値なしの『革命家』。
近代フットボールを学んでいく上で、どうしてもサッキに関する知識のなさはネックになっているのを感じるのです。
それだけにjunchangさんの記事は、個人的に非常にありがたく読ませていただいておりますm(_ _)m


代表と特定クラブの関係は、本当に奥深いです!
バルセロナとスペイン代表の躍進は切っても切れず、アヤックスとオランイェは言うまでもなし。
更にベルギー、トルコ辺りも・・・
調べだすときりがなくて困ります(苦笑)

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2011/04/18(Mon) 14:57 |   |  #[ 編集]
ふむ。
続きが来るまで待ってようと思ったけど名前がww

おっしゃる通りですなぁ。
チリのサッカーは衝撃的でしたが、戦いを重ねる毎にパフォーマンスが落ちていきましたからね。

>とことんまで自分の色を追求したのか?
あるいはそうしなければチリ代表が国際舞台で勝ち切れないと踏んでのことなのか・・・


個人的には後者のような気がしていますが、果たしてどうだったのかは本人のみぞ知るってやつですね。


本田の言っている意味も、自分は白面さんと同意見ですね。きっとそこまで見えているのだと感じます。
2011/04/18(Mon) 16:29 | URL  | 岩氏(いわし) #-[ 編集]
No title
ピエルサのサッカーには賞賛を送ったうちの一人です。
特にチリVSホンジュラスの試合は見ごたえがありました!(TBSで放送すると知ったときは「うわっ何て地味な試合」と大国主導主義ばりばりで馬鹿にしてしまいましたが^^)

短期勝負に勝つためには戦術云々よりも選手たちのモチベーターになることが出来るかが監督としての力量だと思っていましたが、時間さえかければ見事なサッカーを披露することは可能なんですよね!
かつてアリーゴサッキがアズーリにて失敗したのは時間のなさでした^^

クラブチーム=代表と呼ばれる国があり、その国の代表は見事なサッカーを見せてくれた理由はまさにそこなんですよね・・・・アヤックスとオランダ代表の監督を兼務した故リヌス・ミケルス監督がトータルフットをいともたやすく本番で披露したように(アヤックス時代は大変だったようですが)

ピエルサ監督はアルゼンチンでも戦術家として有名でしたが、どちらかといえば若手を伸ばすことに長けた監督として認識していました。が、僕もこの大会では印象がガラッと変わりましたね!ただし柔軟性に少々かけるところがあるようですね^^
2011/04/20(Wed) 15:40 | URL  | junchang #-[ 編集]
コメント、ありがとうございます
>岩氏さん

ごめん、無断でリンク貼っちゃった(笑)

そういうわけで・・・
チリ代表は、ほとんど唯一白面が戦術的に見るべきものがあるチームでした。
でも、一方でそんな趣味的なチームが勝ち上がれるわけもなく(-_-;)

チリ代表そのもので言えば、ビエルサが退いた、これからがまさに重要。
あくまで一過性のものだったのか、それとも今回こうして作られた価値観を今後も大事にしようとするのか・・・?

後任の采配含めて注目です。

>本田△

システムを効率化しろとまではいかないけど、個人技がなくちゃ結局局面打開はできない、っていう意味合いは絶対あると思ったw
なかなかメディアに対してあれこれ具体的に語ろうとするタイプでもないから、あくまで方向性は、って形で押さえているだけなんだけどね・・・現状(^^;

>junchangさん

楽しんでいただけたようで何よりです。
ワールドカップは大国関連の試合にむしろ興味がほとんど沸かず、マイナー国を中心に漁っていた自分です(笑)

サッキは一度、本格的に勉強したいのですよ;
何せ間違いなく、掛け値なしの『革命家』。
近代フットボールを学んでいく上で、どうしてもサッキに関する知識のなさはネックになっているのを感じるのです。
それだけにjunchangさんの記事は、個人的に非常にありがたく読ませていただいておりますm(_ _)m


代表と特定クラブの関係は、本当に奥深いです!
バルセロナとスペイン代表の躍進は切っても切れず、アヤックスとオランイェは言うまでもなし。
更にベルギー、トルコ辺りも・・・
調べだすときりがなくて困ります(苦笑)
2011/04/20(Wed) 21:21 | URL  | 白面 #-[ 編集]
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