インテルやカルチョに関する話題多め
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(4)2つの大きな懸念事項

Ⅰ:何故これほどナーバスは振る舞いを続けてきたのか?

前回ご紹介した通り、モウリーニョは必ずしもマドリディスタのすべてから万全の支援を得られているわけではない。

エル・ブランコ最大の特徴のひとつが、多くのソシオから成る民主主義的なクラブであることであることはすでに書いた。
勿論それは、今日我々が抱いている「民主主義」のイメージからは、幾分以上に乖離した内情ではある。

それでも、サポーターの声がダイレクトにクラブ運営に反映されやすい、ソシオの満足が最優先にされる=効率やセオリーより、感情がダイレクトに反映されてしまうという性質ははっきりとしている。


それが、恐い。

モウリーニョがこの仕事を継続できるかどうか――
モウリニスタである自分にとって、最大の不安はここにある。


この男のマネジメントは、目の前の勝利を可能な限り追求する一方で「1年後、2年後」を見越した手を打ちながら進めるのが常である。
運もよくチェルシー、インテルは1シーズン目から結果を残すことに成功しているが、本格的にチームとして確たる形となったのは2年目以降のことだ。

モウリニスタである筆者は、そのことを骨の髄まで知り尽くしている。
故に収穫や損失の洗い出しなどは行う一方、基本的には彼の仕事を信頼しきっているのだ。

だが、多かれ少なかれ既に『マドリディスモ』という法律を持っていた彼らはどうか。

現状を確認しておくと、日本に入ってくる情報及びいくつかの現地情報(筆者の拙い翻訳力では、多分に限界があるが)から判断するに、レアル・マドリードの
現在いま
を掌る多くのファン、取り分け若年層の多くは指揮官を支持する傾向が高いように見受けられる。

一方、これが中高年になってくるとまちまちだ。
どういったスタンスで応援を続けているか、ヘビーユーザーかライト層かの違いも鮮明になってくる。

更に老年層になると、かなり反発の色が強くなってくる。

古き良き日々、エル・ブランコが最も輝いていた栄光の歴史を知る彼らにとって、昨今のクラブの低迷と停滞、迷走や暴走は目に余る部分も少なくないのだろう。




それでも全体として見れば、大多数のファンはモウリーニョの味方でいる。

何故か?
彼が勝利という結果と、目に見えてわかる対抗策を打ち出してチーム運営に臨んでいるからだ。

これまで夢見がちだった一部のマドリディスタに対しても、非情なほどに現実を叩きつけたからだ。


ターニングポイントは、昨年11月のエル・クラシコ第一戦だ。

ラインを高く設定し、オープンスタンスで点の奪い合いに出たマドリーは、バルセロナの高速パスワークに蹂躙されて為す術無く惨敗。
一時は指揮官更迭の噂すら持ち上がったほど、それは屈辱的な敗戦だった。

だが、あの時多くのサポーターは悟ったはずだ。

もはや正攻法では、ポゼッションを目的とした点の奪い合いで、バルセロナに勝利できるクラブなどこの世に存在しないのだ

と。



エル・ブランコのサポーターはここ数年の低迷、取り分け2年間のノン・タイトルという戒めを持って、嫌というほど自分たちの過失とライバルクラブの強さ、クオリティを味わわされ続けてきた。

取っ換え引っ換えチームの方向性を選択し直す、その場の成り行き任せな方法では、どれほど多くのクラックを獲得したところで勝利には到達し得ない。
取り分けライバルがこれだけ見事なフットボールを展開している以上、同じアプローチを取ろうとしても、そのクオリティにはとても追いつけそうにない。

何か別の方法が必要だ。

選手の質では決して劣ってはいない。
ならば、必要なのは別のアプローチではないのか・・・?

そんなことを考えた人間は、少なからずいたはずである。

そして・・・
マドリディスタがそう考えるよう差し向けたのは、他ならぬ指揮官自身だったのではないか、とも思うのだ。

あの敗戦は逆説的に、

栄光あるマドリディスモに則した戦いを挑めば、ライバルはここぞとばかりにこのチームの穴を突き崩しにくるのだ

と、モウリーニョが世間に現実を知らしめた一戦だったのではないか――?
そんなことを思うのだ。



恣意的な見方であることを承知で、自分はこの半年間あまり、ずっとそういうイメージを抱きながら彼のマネジメントを見てきた。

しかし、まったく根拠のない話ではないとも思っている。
彼だけではない。
過去何人かの指揮官が、実際に同じようなことをやっているからだ。

例えばイビチャ・オシムは、ワールドカップ90年イタリア大会において、国内世論の言う通りにストイコビッチ、サビチェビッチ、プロシネツキを同時起用し、4-1でドイツに敗れた後に

おわかりいただけただろうか?
あなた方の言う通り、彼らを同時にピッチに送り出せば、何がどうなるかを


と啖呵を切った後、思う存分自分の采配を始めて見せた。
その後、次戦以降にチームは瞬く間に息を吹き返し、PK戦でアルゼンチンに敗れるまで、同大会において強烈なインパクトを残したものだった。



モウリーニョで言えば、そのキャリアをスタートさせたベンフィカ・リスボン時代(同クラブはポルトガルの名門で、国内屈指の熱狂的なサポーターを多数持つ)、クラブのアイドルであったアブデルサタル・サブリーに対する一連のアクションがそれだ。
モウリーニョは徹底して、彼を評価しなかった。その守備の意識の低さ、チームプレーからかけ離れた振る舞いが気に入らなかったからだ。

当然、選手とメディアは猛反発することになるが、実際にある試合で彼をプレーメーカーとして起用した所、16分間の間に5回ものカウンターアタックを仕掛けられてしまう。
それを受け、

いかに彼(サブリー)がボールを奪われる回数が多いかわかっただろうか?
そのくせ、彼は自分が奪われたボールを相手から奪い返そうともしない。

10番というのは攻撃と守備を繋ぐ重要なポジションだ、戦術をよく理解していないと務まらないのだ!


と一刀両断にしてみせたものである。


真相はわからない。
あながち間違いでもないかもしれないし、まったくの見当はずれかもしれない。

だが、結果的にあの一戦以後、厳しい時期を経て国王杯獲得に到った結果、モウリーニョの守備的アプローチ、トランジション(攻守の切り替え)重視の戦い方を批判する者が、激的に減ったことは事実である。

その事実さえあればいい。

今後も結果を出し続ける限りにおいて、ほとんどのファンはモウリーニョを支持することだろう。
宿敵バルセロナを破った暁には、取り分けリーグ戦で3年ぶりにマドリー側に勝利をもたらしでもすれば、その評価は決定的なものとなる。

この環境こそ、指揮官自身が望んだものであるとすれば・・・?

勝利の重要性が、これ以上ないほどピックアップされる。
1勝の価値と1敗の衝撃が、何倍にも何十倍にもクローズアップされる土壌をリーガ・エスパニョーラにおいて形成すること。

“ただ勝利する”だけでは、またぞろ

こんな戦いはマドリディスモに反する~

とクレームを付けてくるであろう、アナリスタたちを黙らせてクラブ内をまとめきるには、実に効果的な一手と成り得る。
あるいはそうした余計な声を掻き消すノルマルからの大声援が、これで約束されたことになる。



今後もモウリーニョは、その言動の基本方針を変えることはないと思われる。

が、チームの動向にもよるが、今季ほどナーバスに振舞うことはなくなるのではないか・・・と予想している。

1シーズン目の今季、チームに規律と守備の土台を植え付けると共に、リーガ・エスパニョーラを熾烈な消耗戦にするための種まきをした。

そこで支払わされた代償を、彼は必ず2年目、結果という名の果実でもって、必ず取り返そうとするだろう。
そのために必要な緊張感をチームに与えるための施策は、今後もメディアを通じて成されるはずである。

クラブ内における立ち位置は、この1年で確固たるものとしたと言えるだろう。
対立を続けていたホルヘ・バルダーノの退任を受け、後任にはモウリーニョとの関係が良好かつクラブの偉大なるOBである、ジヌディーヌ・ジダンが就任する。

ようやく周囲から、“自分の仕事”を妨害されずに済む――
そうした環境を整えたということだ。


結論から言えば、モウリーニョのナーバスな振る舞いは、決して外部を直接攻撃すること・自身の感情を発散することを主目的として行われていたのではない。

クラブのフロント、取り分け会長のフロンティーノ・ペレスと、クラブを取り巻く多種多様なマドリディスタたちに、

私を支える気があるか?
私の仕事を見届ける覚悟はあるか?


という意思を、直接・間接的に伝える意図"も"あってのこと――と考える。
ざっくばらんにまとめてしまうなら、

自分の仕事をしやすい環境を整えた

、ということだ。

思えば彼の言葉は、これまでずっと外に向いている時も、実際には内側からそれを聞いている選手たちであり、ファンであり・・・
聴衆に向けて発せられるものだった。


モウリーニョは極めて理知的な人物である。

例え自身のポリシーに反したことはしていない、と考えていたとしても、一方で世間が自分の言動をどう受け取ったのかを、客観的に捉えて分析しているだろう。

しかし実際のところ、

それをチームにどう生かすか、自分の仕事にどう生かすか?

それこそ唯一無二、彼にとって絶対的な行動基準だ。

もし当記事をマドリディスタ・アナリスタの方が目にする機会があったとすれば――
その点だけは、覚悟しておかれた方がよい。

続く



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後数回の連載をもって、当blogを一時休止とさせていただく予定でおります。

クラブと同じように、自分もシーズンを終えるには条件が揃ったかな・・・という感じで(;´ー`)

最後まで走り切れますよう、何卒ポイント支援によるご助力をお願いします。

【2011/06/06 22:45】 | モウリーニョなこと
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