インテルやカルチョに関する話題多め
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前回から粛々と続けよう。

そういうわけで、カンピオナート開幕を前に、限られたチーム構築の時間確保にプライオリティを置いて、スーペル・コッパへの全力投入を避けたインテル。
しかし、それだけで試合を落としたわけではない。

多くの方が不可解に思ったことだろう。

何故この選手が、この局面で登場するのだ……?

と。

オビ。
ファラオーニ。
カスタイニョス。

彼らの登場はサプライズだった。
パンデフ、ムンタリ、マリガにサントンらを押しのけ、この大舞台で指揮官が抜擢したのがこの顔ぶれなのだから。




この起用には、おそらくふたつの意味がある。

ひとつは純粋に、ポジションごとのタスクに合った選手を、戦力として計算して配置した場合。

まずオビについては、攻撃参加は連携も不十分で、充分に機能しているとはとても言い難かったが、守備と運動量に関しては及第点な動きを披露してくれた。
ファラオーニは全体の運動量低下・根本的な連携不足というチーム事情もあり、「中盤の主導権奪回」という投入目的を果たすための貢献はできなかった。一方、本人の動きのみに限って言えば、要所でバランスのよさ・感覚の鋭さを垣間見せている。
カスタイニョスに到っては、パンデフを差し置いての投入である。ほとんど効果的な動きを見せることはできなかったものの、躍動感溢れる動きと、前線スペースへの侵入という、自身のタスクを果たそうという意欲は充分に感じさせてくれた。

全員、合格点には程遠い出来ではあったが……
それでも曲がりなりにも、これで3人の若手は全員、タイトルのかかったカップ戦に一人前の戦力として投入されたことになる。
敗戦の悔しさもあって、皆おおいにモチベーションを高めてくれたことと思う。

しかし、それだけではないはずだ。
もうひとつの意味は、既存戦力への強烈なメッセージだった。

パンデフ。ムンタリ。そしてベンチにすら入れなかったマリガ。
彼らを差し置いて、この全員揃ってケツが藍より青し若造どもが、タイトル戦で起用された事実が、”こと”の多くを雄弁に物語る。


君らはすでに構想外だと。
ここに君らの居場所はないと。


――実にわかりやすい図式ではないか。

それがガスペリーニ主導の元で行われたのか、フロントからの要請もあってそうされたのかまでは判断しかねる。あらゆる可能性が除外できない。
しかし、ベンチメンバーの選考まで含め、この日の選手起用がある種の意思を持って行われたこと――
この点については、議論のしようがない。

特にマケドニア代表の国際Aマッチでキャップを刻み続け、同国の英雄的存在であるパンデフを“干して”のカスタイニョス起用は、最もその意思が明確に表れたオペレーションだ。
例えタイプの違いはあれど、与えられたタスクの内容を鑑みれば、パンデフが総合値でカスタイニョスを下回っているとは、どうしても考え難い。

それでも敢えて起用しなかった理由を探せば、

試合に出て試合を制す以上に、彼らに怪我をさせず、かつ彼らが自分からクラブを出て行かざるを得ない状況を作り出す

ための一手。
そう考えるのが自然な成り行きだろう。
それがすべてではないだろうが、少なくとも何割かはそうした要素が混在していると考えられる。

事実、ここまで名前の挙がった3人は、まさに今夏予想された、インテルの放出候補リストのトップランカーたちである。
筆者以外にも複数の方が、雲行きの怪しさ、様々な符号の奇妙な一致を感じ取られたのではないだろうか。


加えてもう一人、気になるのはサントンだ。

彼もマリガ同様、ベンチメンバーにすら入ることが叶わなかった一人である。
他方、こちらはプレシーズンマッチの多くでウイングバックとして起用されており、果たして構想外として干されたのかどうかは、今の時点では判断がつきかねる。
本来ガスペリーニの3-4-3は、特にウイングバックの上下運動が多く、そこにかかる負担が甚大なシステムだ。交代も多いポジションで、スタメン以外にも2ndチョイス、3rdチョイスまで人員を補填しておくのが無難なセクションなのだ。

それだけに、サントンのベンチ入りが叶わなかった理由は、おおいに気になるところである。



単純にコンディション上の問題なのか。
構想外・放出候補であるという現実を突き付けるためのメッセージか。
あるいは、それ以外の何かか……?

どのような理由があるにしろ、サントンはかつて神童と呼ばれ、クラブ生え抜きの一人として多くの期待を集めた選手だ。
そんな彼が、長友、マイコン、ジョナタンとサイドプレイヤーの第一人者たちがことごとく不在なこの状況下で、スタメンどころかベンチ入りすら果たせなかったことの意味は大きい。


とかく余剰人員の整理、放出によるコストカットと移籍金の入手は、現在のインテルにとって死活問題と言えよう。

一昨夏、CL制覇に繋がった、現在の主力たちが加わったあの一大補強。
その前年、機能したとはとても言い難かった、クアレスマら複数選手の加入。
昨冬、近年稀に見る大不振から抜け出すために、急ピッチで進められたパッツィーニ、ラノッキアらの獲得……

ファイナンシャルフェアプレー制度の導入を前にして、インテルの財政事情は極めて切迫した状況にある。

国際色豊かで自由度の高い環境、ミラノの美しき街並みに、一流クラブの一員というステータスと高給。インテルは一度入ってしまうと、選手が自分からは出て行きたがらないクラブのひとつだ。
選手がクラブに愛着を持ってくれるというのは、必ずしも悲観すべきことではない。むしろ名誉に感じるところである。

他方、ビジネス面に目を向けて見ると、決して好ましいとばかりは言えない。
これからは、これまで続けてきた赤字を、モラッティ会長のポケットマネーで補填してもらうという方法はもう取れないのだ。

選手自身がもう御免だと音を上げ、自ら出ていくことを決断しなければならなくなるような、非情なオペレーションが必要となってくるケースが必ず出てくる。

こうしたピッチ外の問題、純粋なプレーのクオリティ以外の判断材料が、多く持ち込まれた試合……
全般を通して、そうした印象を強く受けたゲームだった。




そんなわけでこの試合、インテルの敗北は極めて妥当な結果だったろう。
これで本気で勝ちに行ったと吐かす関係者がいた場合、その者は即時「本気」の意味を、今一度辞書を開いて学び直した方がよい。

勿論勝利を目標として、関係者全員が試合に臨んだことだろう。
だがそれは「義務」ではなかった。
インテルにとってこの試合の勝利は、あくまで「希望」でしかなかったのだ。

インテリスタとして言えば、無論面白いことではない。

これでミラノダービーは、昨季から数えて通算で3連敗。
言うまでもなく、不愉快極まる展開だ。

が……クラブが現在置かれている状況、複数の問題を考えれば、結果は割り切りを持って受け入れなければなるまい。
本当に大変なのは、むしろこれから夏のメルカートが閉まるまでの三週間となる。

もっか最大の問題は、スナイデルの去就がどうなるかだが、これについては――また別の機会に取り上げることにする。


これだけ限られた時間の中、ピッチ内外の問題をどう解決していくのか……?

フロント、コーチングスタッフ、そして選手一人ひとり。
全員の、それぞれのお手並と決断を、敬意を持って注視していこう。

<了>

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【2011/08/08 20:39】 | インテルなこと
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