インテルやカルチョに関する話題多め
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 ピッチで戦う選手たちも予想していなかったであろう、今回の多摩川クラシコ大勝。勝因の一つとして挙げられるのが、現在のチーム事情に則したシステム変更だった。

 まず状況を整理しよう。今季ここまでの川崎の歩みは、ACL初戦を除けば一分け四敗。この燦々たる戦歴には、以下のような原因が考えられる。これまでも言及してきたことだが、確認の意味も含めて振り返ってみよう。(※それぞれの詳細については、過去の更新で述べてきたため割愛する)

・ 連携の不足
・ 他クラブの研究の強化
・ 勤続、環境の変化による疲労
・ 複数のストレスと結果による自信喪失

 今回重要なのはこのうち、3つ目の『疲労』についてだ。この問題について、指揮官は一つ、明確な解決策を提示してきた。同時にこれは神戸戦から繰り返し述べて来た、
中盤の両サイドのスペースを攻略される問題
に対するカウンター・プランでもある。

 ここで今一度、昨晩の試合を振り返ってみることにする。
 スターティングイレブンの中に、パウリーニョも山本真希の名もないこと。代わって読み上げられた名前が、森谷賢太郎であったこと。この2つの事実には、少なからず驚かされた。
 過去にも何度か森谷は中盤の3センター(主としてハーフェーライン前後に位置するMF)の一角としてプレーしたことはあったが、率直に言って視野の広さが稲本、中村らに比べて不足していることや、直線的になりがちな動きの質から、あまり効果的に機能しているとは言い難かった。それだけにこの時点では指揮官が何を考えて彼を起用したのか、筆者には掴みかねていた訳である。

 だが、すぐにこの疑問は氷解することになる。川崎がこの日取った布陣は、今シーズン初の4-4-2。今から40年ほども前になるだろうか……かのヨハン・クライフがフットボール界において一大革命を起こした、世界で最もポピュラーなシステムだ。
 なるほど、このシステムなら森谷の起用も頷ける。泥臭い仕事を厭わず、献身的に走る姿勢。硬軟織り交ぜたドリブルを駆使した、強力な縦への推進力。4-4-2のサイドハーフを任せるには、まさにうってつけの選手である。



 中盤MFの構成は、左からレナト、中村、大島、森谷の4名。その前の2トップに、大久保と小林が入る。このシステムによって川崎は、

① 中盤両サイドの危険なスペースを埋め、
② 連戦から来る運動量の低下をカバーし、
③ 縦に素早くボールを運ぶのに適した距離感を確保し、
④ 相手の最終ラインの背後を突きやすい状況を作り上げ、カウンターを効率的にした

ということができる。実際にはより細かに、複雑な化学変化が複数起こっているのだが、今回は特に①、②に的を絞って話をしよう。

 まず①についてだが、これは最もわかりやすい。
 開幕から川崎が使用してきた4-2-1-3(あるいは4-3-3、4-2-3-1)の布陣は、先述の通りどうしても両サイドのスペースがぽっかりと空いてしまう。こうした問題を起こさないためには、3トップの両翼が激しい上下運動を繰り返して、サイドバックとウイングの2つの仕事を兼任するようにプレーする必要があるのだが……ご存知の通り川崎はここまで、ACLの開幕戦以降、連戦に次ぐ連戦を重ねている。しかも結果が出ていないとなれば、身体的にも精神的にも、選手の疲労は目に見えて明らかなレベルまで蓄積しているわけである。
 一応断っておくが、レナトも小林も、決して持久力の足りない選手ではない。だが、激しく上下運動を強要させて力を発揮できるタイプではない。結果としてチームの前線と最終ラインの間のスペースは大きく間延びし、敵の侵攻を余儀なくされていたというのが、筆者の率直な感想だ。

 しかし、システムを4-4-2に変更したことで、両サイドは自動的にカバーされることになる。極めて単純、かつ究極的な対策だ。
 図を見れば明らかだが、選手が陣取る位置がそのまま答えになっているのである。その意味で風間が打った手立ては、チームが抱えていた問題点に対し、最もシンプルで効果的なものだったと言えよう。


 同システムの効果はそれだけではない。
 例えば4-3-1-2や4-2-3-1など、4つのエリアに選手を配置するシステムは、先述の通り選手に高い運動量を要求する。こうした近代的な布陣は、確かに選手にそうしたタスクの遂行が可能であれば高い効果をあげることができる。しかしフットボールは、10分ないし5分も相手の足が止まれば、3点4点と得点が奪える競技である。選手が充分なコンディションを保てていない限り、これらのシステムを十全に機能させることは難しい。

 実際、ここ数試合の川崎の、特に後半45分の戦いぶりを思い浮かべていただければ、言わんとしたいことは伝わるのではないか。先日まで川崎が敷いていた布陣である4-2-1-3(※風間の意図が異なる布陣であったとしても、これに近い状態まで陣形は間延びしていた)などは、最終ラインと3トップの間が2エリア分(2-1の中盤分)も空いているため、3トップ両翼の負担は特大である。
 このシステムを十全に機能させて結果を出したクラブは、2010年に国内外のタイトルを総なめしたインテル・ミラノだけだ。しかしそのインテルも、同システムで選手を酷使し続けた影響からか、翌シーズン以降深刻な不振に陥っており、今もってかつての栄光を取り戻せてはいない。つまりそれほどハイリスク・ハイリターンなシステムだと言うことができる。

 こうしたシステムに比べて4-4-2は、中盤の配置がシンプルな横一列のため、最終ライン(DF)と中盤(MF)との距離感を一定に保ちやすいという利点がある。これは特に中盤の選手たちにとって、非常に重要なポイントである。身体だけではなく、脳の疲労を軽減してくれるからだ。こちらの記事なども併せてご参照いただければ、より具体的なメカニズムが伝わりやすくなるかもしれない。

 断っておくが、4-4-2は近年、ピッチ中央部の人口密度の低さからくるポゼッション(ボールを自分たちが保持すること)スタイルとの相性の悪さなど、複数の問題点を指摘されてきたシステムだ。決して万能のシステムではない。
 しかしその一方で、多くの選手の個性を比較的受け入れやすいことや、最終ラインと中盤とのスペースを均一に保ちやすいことなど、利点も数多く存在するシステムである。これだけ長きの間、フットボール界で活用されてきたシステムは他になく、そこには明確な理由があるということだ。時と場合によっては、今回のようにわかりやすく効果が表れることもある。 
 
 風間八宏がこれまでに成した仕事の中でも、戦術的工夫という点では指折りの一手に感じた。指揮官の英断と選手の奮闘を、心から讃えたい。
 今後も選手のコンディションや相手のスタイルなど、状況を複合的に考慮した上で、チームにとっての最適解を模索してくれることを願う。

<了>

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【2014/03/24 23:53】 | 川崎フロンターレなこと
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