インテルやカルチョに関する話題多め
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ある程度覚悟はしていたが、インテル、及びトットナム・ホットスパーズにとって苦しい夜になった。

シャルケ04vsインテル・ミラノは、ホームのシャルケが2-1で快勝。
また、トットナム・ホットスパーズはジョゼ・モウリーニョ率いるレアル・マドリード相手に、
今季この半年間無敗を誇ったホームスタジアム、ホワイトハートレーンにおいて0-1のスコアで無情にも散った。


贔屓チーム2チーム(片方の試合は贔屓チーム同士の対決であり、モウリーニョ・マドリーはベスト4に残ったわけだが)がかくも無残に散り、心が痛まないわけがない。

それでも、忘れないうちに残しておきたい言葉がいくつかある。
雑感をまとめてみた。


・インテルについて

最大の敗因はコンディションだ。

メンタルは気負いと焦燥がネガティブな形で作用し、フィジカルはこの激戦・連戦を繰り広げてきた影響でズタボロ。
およそ本来のインテルとは、かけ離れた姿になっていた。

目に付くのが、足元、足元へボールを繋ぎたがる傾向である。
これは相手にパスカットされた際、

プレッシングにいけるだけの体力・気力がない

ことが大きく関係している。
インテルに限らず、疲労が蓄積したチームに多く見られるパターンで、スマルカメントは低下し、スペースに移動しながらボールを受けるシーンが作り出せなくなるため、ヴァイタルエリアにいい形で侵入することが極めて困難になる。

開始10分を見た段階で、勝ち抜けの確率は1%あるかないか・・・ということを覚悟するほどだった。


采配に疑問を呈するファンが多い理由のひとつが、これまでチームに絶大な貢献を果たして来たカンビアッソを指揮官レオナルドが最後まで起用することなく、モッタのアンカー起用にこだわったからだろう。

だが、これは筆者に言わせれば、方法論の違いでしかない。

正直に言えば、自分の好みではない。
が、それそのものを敗因だ、失敗だ、間違いだ・・・
とプロの現役指揮官に言えるほど、自分がフットボールに精通していると驕ってもいない。
面と向かって本人に言う勇気のない発言は、例えblogというメディアであっても行う気はない
極論に過ぎるとお叱りを受けてしまうかもしれないが、自分なりの誠意の示し方、ルールなので・・・
この機会に明言させていただく。

話を戻そう。

以前も書いたように、自分は「クチュ型4-3-1-2が近年インテルの原点」だとは思う。
カンビアッソのアンカー起用は、インテルというチームが最も安定し、選手も安心してプレーしやすい施策のひとつだろう。

だが、レオナルドはこの試合に“安定”を求めなかった。

モッタをアンカーに配置したのは、よりポゼッションを重視し組み立てへ貢献することへの期待、
その両脇(斜め前)の傍らにスタンコビッチを配したのは、縦への突破力の増加と1stレグの鮮烈なゴールの影響など、いくつかの明確なアイデアの元で行われている施策だろう。

筆者の望む通りに振る舞ってくれなかった――
そんな子供じみた理由で、指揮官の策を「失敗」と断ずることはできない。

あるいは、更に別の可能性もある。

指揮官が実は、最初からこの試合、内心では諦めていたとしたら?
今後のカンピオナート&コッパ・イタリアのために、カンビアッソを

温存

していたとしたら・・・?

可能性は0ではないだろう。
レオナルドには、存外とそうした(よくも悪くも)「本音と建前」を使い分ける節がある。

昨シーズン、ミランvsマンUの2ndレグ前に、

まだ何も終わってはいない!

と強弁しておきながら、敵地オールドトラフォードでは極めて消極的・低燃費な戦いにチームを終始させた男である。
(無論、守備の要であったネスタの負傷欠場が大きく士気に影響していた可能性はあるが)

今回の采配にしても、采配に関する真意は本人の口から直接語られることない限り、永遠に謎のままではある。
他方、少なくともその効能・結果に関しては、今後間違いなく明確な形で提示される。




何が言いたいのか?
つまり

戦術的に多くの問題があったとしても、戦略的に英断になる可能性は常にあり得る

ということだ。

率直に言って、レオナルドに対するインテリスタの評判はよろしくない

結果から見れば不当とも言える状態と、自分のような新参は感じるのだが・・・
やはり、

・元ロッソネロだけに、往年のインテリスタからは抵抗感が強い
・戦術&守備大国イタリアでは珍しい、フィーリング&攻撃志向の采配が好まれない
・上記含む、モウリーニョ時代のチームイメージとの齟齬が敬遠されがち

――など、逆風が吹きやすい土壌が自然に形成されている。
ミラノダービー直前、勝ち点2差に詰め寄った状況下ですら

とりあえずは応援するけど・・・

といった、ネガティブな視点で見られているファンも相当数いた。
衝撃的な2連敗を喫した、先週以降の評価急降下に関しては言わずもがなだ(苦笑)

それはそれでいい。

好みに合う合わないはどうしようもない。
他人の好みにケチをつける気も毛頭ない。


一方で、自分自身の評価の方法、観点を変える気もまったくない。

自分が見るのは、

与えられた選手、期間、状況下で、コストに見合う結果を残すことができているかどうか?

コンスタントな形を持った『マネジメント』を行えているかどうか


――そこに尽きる。


前任者、ラファエル・ベニテスや、独裁者で知られるフェリックス・マガトの仕事に対してもそうだった。

自分自身の戦術的な好み、チーム運営の志向で評価が上下することはない。
好み・評価基準が存在するとすれば、それはマネジメントそのものに対する価値観だけだろう。

10人いれば10人、100人いれば100人の指揮官に、自分は同じ方法で評価を下すよう努める。
当サイトで自分が書くものに課した、絶対的なルールだ。


レオナルドに対しても、それは変わらない。
見定めるのは長期的視野――かかったコストと状況の制限の下で、どれだけ結果を残したかだ。

具体的に言うと、シーズン残り1~2試合まで優勝の可能性を数字上だけでも残し、来季のCL出場枠を確保できてさえいれば、(フロントの運営への視点を含めて)自分は文句なしに続投に「」と言う。

逆に、どれほど本人が考えられる可能な限りの対策を施し、本人に明確な過失らしき過失がなくとも・・・
チームがもはや改革必至、ドラスティックな変革を必要とする状況になっていれば、躊躇なく「」を突きつける。

カルチョに属する者である以上、カルチョらしく結果を残して欲しいと願う。


ダービー後の敗戦から数回・・・
前回までで、自分が言うべきこと、かけるべき言葉はかけ尽くした。

後はよほど緊急の事態が生じない限り、インテルとレオナルドに関しては、黙って事の推移を見守る気でいる。
必要な時が訪れてから、どこかでまた取り上げることになると思う。

――あえて声をかけるとすれば、

選手と自分の哲学を裏切るな、信じろ。現実を直視し、夢想へ逃げるな

というところだろうか。

メディアの喧騒、ファン(筆者を含む)の雑音に紛らわされてはならない。
揺れず、恐れず、自らの戦いをチームは継続すべきである。

その上で何がどうなるか・・・
しかと見定めてみようじゃないか。


・トットナム・ホットスパーズについて

完敗。
そう言っていいだろう。

ここまで対戦相手を恐怖させてきた、聖地ホワイトハートレーンで敗れただけでなく・・・
言い訳の効かない、2試合連続の完封負けである。


だが、状況はそこまで悲観するべきものでもないだろう。

元々今回がCL初参戦だったのだ。
挑戦者の姿勢で、恐れることなくインテル、ブレーメン、トゥベンテ、ミランといった強豪どもを撃破し続けてきたのだけでも、素晴らしい挑戦になったと言えるはずだ。

むしろ、敗れたのが天下のレアル・マドリードであったことは僥倖であったとさえ言える。

曲がりなりにも昨季までのイタリア王者、昨シーズン国内外三冠王者であるインテルが、ここまでCLベスト4以上に勝ち上がった経験のないシャルケに敗れるのに比べ、選手たち自身の心情、世間からのプレッシャー・バッシングなどは格段に軽い。
(更に、プレミア特有のリスペクト精神でもって、破れても健闘を讃えられる効能もある。この点は本当に素晴らしい)

指揮官レドナップは、一連の戦いを

素晴らしい経験だった

と称した。
これにはまったく同感である。

これで、ここから先は来季のCL出場枠に狙いを絞って――
眼前の戦いに集中できるというものだろう。



無論、問題は山積している。

DFラインの顔ぶれが相次ぐ負傷者の影響でなかなか安定・統一されず、それ以上に深刻なのは得点力の低下。
指揮官が訴え続けてきた

ワールドクラスのストライカーの獲得

が実現されなかった、直接的な影響は顕著に出始めている。

ファン・デル・ファールトやベイル、レノンらの攻撃力によって補われていた攻撃力が、彼らのコンディション悪化に伴い目に見えて低下。
チーム全体の走力が落ち、ラインが間延びしてスペースを有効活用するのが難しくなりがちな時こそ、強力なCFの得点力が欲しくなるところなのだが・・・
如何せん、今のスパーズに適任者はいない。

しかし、こればかりは泣き言を言っても始まらない。

幸いインテルと異なり、スパーズには若さがあり、システム・戦術の“”をハードワークでカバーできる文化もある。
(チーム以上に、リーグそのものの性質と言うべきかもしれない)

残り試合、似合わない小技などは使わず、駆け抜けるのが最上の策か。

サンティアゴ・ベルナベゥで味わったあのプレッシャーと比べれば、旧ビッグ4との戦いすら、自分たちにとって慣れ親しんだ、血湧き肉躍る戦場と感じられるはずだ。

差し当たって最初の山場は、4/20のアーセナル戦。
ノースロンドンダービーで、敗北のイメージを払拭できるかに注目したい。


○終わりに

・・・やれやれ。

雑感ひとつ書き連ねるのに、どうしてこれだけ時間と労力がかかるのか。
やはり、自分に日記式のやり方はできないらしいと噛み締める次第だ(-_-;)

とは言え、久々にモチベーションと時間に一定の“タメ足”はできたと思う。

次回以降は半定期連載で、ようやく目処がついた「代表論」をアップできそうだ。
大変長らくお待たせしてしまったこと、心からお詫びしつつ・・・

ひとまず今晩は、足疾に床につこうと思う。

観ているこちらが大きく心身のコンディションを摩耗させられた、今朝の2試合をイメージから消し去ることにしよう(苦笑)

<了>

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【2011/04/14 23:17】 | マネジメント
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No title
junchang
前任者が偉大な功績を残した後というのは誰が監督をやってもマネジメント難しいですよね・・・・

あえてレオナルドはその環境に飛び込んだわけですが、白面さんいわくレオナルドとモラッティの間には信頼関係が構築されているようですが、インテリスタからすると物足りないんですね^^
後2~3シーズンは見てあげたいです。
しかし監督の就任期間って益々短くなっているような・・・・

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インテルに限らず
白面
カルチョのファンに全体的に見られる傾向と、おおいに齟齬を感じます。

つまり・・・
レオナルドにとっての美徳と、カルチョにおける美徳、それが見事に噛み合っていない。

加えて、経験のなさですね(-_-;)
こういった形で、ショックという形でチームに問題が発生するようなケースは、ベテラン指揮官でも立ち直らせるのに時間がかかります。

最近気がついたこととして、自分は戦術や采配のせめぎ合いという点ではイタリア贔屓なんですが、一方でチームや選手、監督の応援の仕方はプレミアやブンデスのオーソドックススタイルに近いようなんです(苦笑)

カルチョのファンは、良くも悪くも

「自分の好み・感性が絶対のものさし」

になってくる。
自分の望む通りの采配をしなければ勝っても文句が出、負けたら即解任だクビだ・・・となる。

指揮官の途中交代が主要リーグの中ではダントツで多いのも、そういったカルチャーに根ざすものなんじゃないか・・・
と考えてたりします。

一介のブロガーがこんなもん研究しても仕方ないことなんですが・・・w

コメントくださった方へ
白面
わざわざコメント、どうもありがとうございました。

スパーズサポな方は、ほとんど見ないだろうな~このサイト・・・
なんて思っていたので、すごく嬉しいですw

結局のところ、必要な選手が揃っていないことが一番の原因と思うのです。

複数のシステムを併用して戦うにも、連携がまだ十分練りこめていない。
FWの頭数が一見足りているように見えても、それぞれの動きの質の関係上、周りがどれほどお膳立てしても限界がある。
ラフィーやベイルの個人能力を生かそうにも、彼らへの対策を相手に取られた時、新たに生じる穴を突ける武器が足りない・・・

だいたいそんな感じに捉えております(;´・ω・)

ハリーは時間のない中でよくマネジメントをやってくれてると思いますが、これ以上を望むならよりハリーの理想実現に適した選手を揃えなくちゃいけないし、お金もかかる。
健全経営モットー、育成しながら結果も残していくが信条のスパーズでそれを実現するのは、言うほど簡単なことではないですよね・・・

それでも、だからこそ自分はスパーズに惹かれている。

プレミアに関してはまだまだ勉強不足なことを自認しつつも、今後もその歩みを見守り、また必要と思ったことに関しては提言していきたいと思うのです。

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シャルケ戦を前に、インテルの関係者が続々とコメントを発している。
その一部をご覧いただこう。

・マッシモ・モラッティ(会長)
「魅力的な挑戦」

・レオナルド(監督)
「失うものは何もない」

・ハビエル・サネッティ(キャプテン)
「僕らは信じなければいけない」


と、こうした状況にあるわけだが・・・


単刀直入に言おう。

インテル側には勿論、相応のモチベーションはあるだろう。
だが、この一戦に関してはおそらく

相当のモチベーションしかない"

はずだ。

ここで言う相応とは、言うまでもなく1stレグを2-5で終えたこと・・・
つまり、得失点差にして実質2-10の差が点いているという点に他ならない。

やるだけはやる。
が、それ以上のことはしない。

わかりやすく言うなら、W杯決勝のように

命燃え尽きても戦う

ような覚悟を抱いてこの一戦に臨む選手は一人もいまい。

CLと国際試合ではモチベーションの在り方がそもそも異なるため、これも厳密な比較としては正しくないかもしれないが・・・
言わんとしていることはおわかりいただけるかと思う。

万が一には、奇跡が起こせるかもしれない。
しかし、

万が一にしか"

自分たちにラウンド突破の可能性がないことを、指揮官も選手たちも十分に悟っているということだ。



それでいい。

蛮勇を振るい玉砕覚悟で突撃することと、
現実を見据えてその中で可能性を探すことは、
まったく異なるアプローチだ。

前者は一見すると、華々しく潔い印象を受けがちである。
特にここ、日本という土壌では尚更(人類学、社会学は専門ではないが、日本人の多くが華々しく散る者、愚直・一本義なものに「潔し」という評価を与え、好印象を抱くのは歴史に明らかだ)だろう。

だが、それは筆者に言わせれば、およそ考えられる最も愚かな選択――

特攻・玉砕への誘いは、チームの息の根を止めんとするタナトスの囁きだ。




今更な話ではあるが、CLベスト4へ進むために、この一戦で要求されるものはあまりに多すぎる。

インテル側の完璧な準備――
指揮官の完璧な采配と、
選手の完璧なパフォーマンス

言うまでもなく、それは心身双方の極限の発露を伴うものである。

加えて、あらゆる勝負で決定的となる重要な要素、



の助けが必要不可欠だ。
ミラノダービーにシャルケ戦の1stレグも、運のなさからズルズルと大勢を崩し、歯車が狂っていった側面が少なからずあった。

自分たちだけでも、これだけのファクターを必用とする上に――

4点差以上の勝利ともなれば、
シャルケ側の戦術的ミステイク、狼狽、負傷その他の問題
など、相手方のマイナス要素も重ならなければ起こりえない結果と言える。
昨季のブンデスリーガ2位、今季のCLグループリーグ1位通過チームは、ちょっとしたことであたふたと崩れ落ちるような、初心な童貞チームとは違うのだ。

ジャッジングに関しては、相手方のホームというだけで期待するだけ野暮というものだ。
最低限度の中立性が保たれているだけで「是」としなければなるまい。


・・・100戦練磨のベテランを揃えるインテル・ミラノが、こうした数々の事象に気づいていないはずがない。
それでも彼らがこの一戦に、ある種の決意を持って挑まんとしているのは、現実的な勝ち上がり以上に

インテル・ミラノであること

に対する誇り、一人ひとりのプロフットボーラーとしてのプライドによる部分が大きいのではないかと思う。

昨シーズンのチャンピオンチームにして、セリエAカンピオナートをもっか5連覇(4連覇、とする動きもあるが)中の、王者としてのプライドを、これ以上ズタズタに切り裂かれる痛みには耐え切れない。
矜持を見せなければ、屈辱と失望で、本人たちが潰れてしまいかねないのである。

それは死に物狂いで勝ち抜けを渇望するよりも、よほど自然的で、逆説的に可能性を広げられる冷静さを伴った、正しいモチベーションかと思う。

実質的に敗退が確定した状態であることは、他でもない当事者たちが一番よくわかっている。
一方でこれ以上の醜態を晒しては、今後インテルがCLというコンペティションで戦う際のトラウマになりかねず、また今後国内であらゆる揶揄と嘲笑、敵対クラブやメディアに格好のネガティブな材料を与えることになりかねない。

危機感が働くのは、半ば必然と言えるだろう。


インテルの2010-2011シーズン、CLというコンペティションは、9分9厘終焉を迎えている。

後は最後の1ピースに、
絶望の種を植えつけられる
か、
未来へ繋がる萌芽を見つけ出すか
に、この戦いの意義はほとんど絞られたと見ている。

推奨方針は、

“攻守のバランスを攻撃寄りに保ちつつも、絶対的な結果至上スタイルを”

である。
1stレグの得失点差をひっくり返すことができなくとも、インテル側が

このクオリティなら、もう一度当たった時は絶対に(シャルケを)叩ける。

叩いてやる・・・!


と実感でき、シャルケ側が

一戦目からこれなら、自分たちは万に一つも突破の可能性はなかったろうに・・・

――と恐れおののく、そんな結果を手にしなくてはならないということだ。
対戦相手のシャルケが試合の後、喜び以上に安堵が、次戦へのモチベーション以上に疲労を色濃く感じるような、そんな試合の終え方ができれば・・・

それは間違いなく、この試合がインテルにとっての“最適解”になったということを意味する。

内容で圧倒し、+αの要素がすべてインテルに味方することを祈りつつ、
あわよくば"
結果を手にする。

そんな展開を目指すのが、ことこの状況におけるベストではないだろうか。


極端に前がかりの布陣を敷いて、バランスを失うのは愚策中の愚策。
バランスはどれほど攻撃の厚みを高めるにしても、5:5までがギリギリのラインだろう。

忘れてはいけないのは、1点でも失えば、こちらに課せられる得点ノルマは5点となることだ。
失点のリスクを覚悟しつつも、最後の部分で最低限のリスクマネジメントができている(あるいは「これは相手が見事だった」、と割り切れる形以外では得点させられないよう・・・とも称せるか)、そんな状況下で攻撃を仕掛けなければならない。

厳しいことは百も承知だが、そもそもこの状況を招いたのは自分たちの責任でもある。
ツケ払いはハードワークで返却するしかない、ということだ。


この試合はシーズンで見れば、60試合の中の1試合である。

暴論かもしれないが・・・
シーズンを90分の試合と見たてて考えるとすれば、わずか1分半あまりの出来事に過ぎない。

その内、よい面だけを汲み取り、いかにしてチームに還元できるか?
今考えるべきは、ラウンド突破ということ以上に

未来へと繋がる終え方を模索する

、そうした視点・捉え方と考えるわけだ。

その意味で、今日は勝敗よりも選手個々人のパフォーマンスよりも、
何よりもレオナルドの目線がどこを向いているのか?

ベストを尽くす』のベストの対象とは、ラウンドの勝ち抜けなのか?
今後1ヶ月や、その先の戦いの方なのか・・・?

その方針を確認できる、格好の機会と受け止めている。


©gazzetta dello sport


脱落者と敗者は、明確に異なる。

ラウンドから敗退する分には構わない。
だが、後者に――負け犬になってはならない。

カップ戦の優勝チームが「WINNER」と呼ばれるのは、チャンピオンではなく試合を勝ち抜いた者、という意味合いがあるからである。
ならば、その逆も然りというわけだ。


“負け”れば、今シーズンどころか来シーズンに到るまで、多くの影響を引きずりかねない。
一方、誇り高く“去る”ことができれば、今後に向けて大きな、大きな財産になることだろう。

幸いにも相手の指揮官ラルフ・ラングニック監督は、この一戦に際し

0-0のつもりで戦う

とのコメントを発してくれた。
願ったり叶ったりである。

シャルケのモチベーションが真剣そのもの、勝ちに徹する姿勢できてくれればきてくれるほど――
インテル側の士気も、結果に応じて高まることになる。

勝ち抜けが叶わなくとも、全力の相手を叩きのめして終えることができれば、
突破とはまた別の形で、それは間違いなく新たなモチベーションの糧となり得るものだ。

その意味では、実に奇妙な形で勝利が義務付けられた試合もあったものだと、フットボールの妙・・・
奥深さを感じている。


突破を目指して玉砕覚悟で戦うことと、
相手に圧力をかけて手に入れる、明確な形での勝利を目指した戦い。

2つの選択肢が用意されているとすれば、自分は迷うことなく後者を選ぶ。

<了>

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【2011/04/13 18:46】 | マネジメント
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No title
ガッピル
同感です。

どうしても点差が開いている場合だと前がかかりになりやすく、カウンターからやられて
結局負けてしまうみたいな展開もよくありますからね。

残りのリーグ戦を含めてインテルの未来の為に
この一戦でどういう戦い方をするのか非常に興味深いです。

本音と建前(苦笑)
白面
感情では、

「何言ってんだ!!

当然ここは勝ち抜け上等で突っ込むべきだろ!?」

・・・と言ってる自分も、一方でいるにはいるのです。

ただ、仮に勝ち抜けを狙うにしても、玉砕覚悟の特攻は好まない。
あくまでバランスを取って戦った上で、+αの何かが起こることに期待する形が最良だ・・・

そういう感じですね(^^;


そろそろ、チームも落ち着いていると思います。

最低限来季のCL出場権を確保してくれて、恥ずかしくない戦いを披露してくれる限りにおいて、指揮官も選手も自分は支え続けるつもりでおります。

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おわりに:ヴォルフスブルクに伝えたいこと

フットボールとは必要な選手を必要なタイミングで獲得し、また放出することで回るスポーツだ。
過去の成功例を見る限り、これは確かな真理と言うことができる。


この際、人選において最も重要な要素のひとつがモチベーションであり、戦う意思があるかないか?
プレーすることに喜びを感じられるかどうかが、成功と失敗の分かれ目となる。

ゼコを然るべきタイミングで放出し、

うちで活躍すれば、ああやってステップアップしていくチャンスがありますよ!

と喧伝し、その上で野心的・挑戦的人材を確保していけば、今ごろチームはまったく異なる順位にいただろう。
今シーズンの失敗を、クラブは是非教訓化していただきたい。


モチベーションを失ったメガクラックより、

矢尽き剣折れてもなお行軍を止めようとしない、

そんな戦士の方がチームにとっては何倍も有益である。


闘志なき者はチームに悪影響しか与えず、そこには連動性も生じない。

だが闘志がある限り、チームへの愛情と献身性がある限り、その者はどんな形でも――
例えベンチにいようと、スタンドにいようと、病院にいようと
――チームにとってポジティブな存在となれるからだ。


昨シーズンから今シーズン、ここまで続く体たらくを見れば、クラブにどういった選手が必要なのか?
素人であっても、手に取るようにわかるはずである。

今このクラブに足りないもの、

それは情熱と規律だ。


チームが必要としているのは、健全な競争のなくなったグループに活気を起こし、血を通わせることのできる選手。
プレーすることに喜びを見出せる、自分自身とチームのために働ける選手以外にない。

フットボールに関しては素人でも、人を観る者としてはセミプロであるという自負の元、この点に関しては筆者は確信を持って断言することができる。


無論、技術やプレー特性を考慮して獲得すべきなのは言うまでもない。
しかしこの際、ただただそうした外面的な要素だけで選手を買い求めるのではなく、例えば

スモールクラブの、国際的には無名の選手でもいいから、
少ない報酬で高い成果(得点率、1vs1の成功率、1試合当たりの総走行距離など)を残している


選手に着目し、より高いモチベーションを与えて活躍させる――等々、
メンタルコンディション、メンタルパフォーマンスを考慮に入れた具体的な補強戦略は、果たしてこのクラブにあったのだろうか?


単刀直入に言おう。
ヴォルフスブルクにはゼコのような若手大物選手を、長期間留めておけるだけの歴史も魅力もない。

ここはバルセロナやミランとは違うのだ。

フロントはまず、そこを自覚する必要がある。


自分たちの歴史を顧みるがいい。

クラブ創設以来、初のタイトル獲得はわずか2年前の出来事だ。
マガト政権下で得たリーグ優勝以外に、このクラブにタイトルは存在しない。

クラブハウスの、スタジアムの周辺を見るがいい。

ここはドイツの片田舎。
若者が好む類の娯楽もなければ人も少ない、小さな小さな街ではないか。
あるのは工場や畑ばかりである。

フットボールがすべてこれ、人の織りなす営みである以上、

歴史や環境、その他あらゆる文化的要因を踏まえて、

即ちこれクラブのステータスという。


ならばこのクラブに、フロントが願う理想を叶うるに足るだけのステータスは存在しない。
そもそも一部に昇格できたのも、つい最近1997年のことであったことは忘れたのだろうか?

昇格後、わずか10年足らずでリーグ制覇を成し遂げた躍進は万人から評価されるべきだが、
一方で同クラブから感じられるのは、いまだ発展途上なクラブ特有の青臭さばかりだ。

残念ながらここは、世界最高峰の選手たちが、我からと手を挙げて加入を希望するようなクラブでは断じてない

そもそもが人口13万人足らずの、小さな小さな地方都市のクラブなのだ。
フットボーラーが人間である以上、同じ条件ならより生活が楽な、都市部のクラブで働きたいと願うのは自然な成り行きだろう。



こうした地理的条件まで含めて、彼らは自らのブランドを、クラブとしての価値を高めていかねばならない。
クラブの価値が高まらなければ、価値の高い選手はやって来ない。

地道な努力を怠り、いきなりビッグクラブの仲間入りを果たさんと意気込んでも、現実から手痛いしっぺ返しを食らうだけなことを、彼らは自覚すべきなのだ。


だが――


確かにヴォルフスブルクは未成熟な、発展途上中のクラブだ。
伝統・実績・サポーターの数・・・
世界に名だたるビッグクラブに、見劣りすること甚だしいものがある。

他方、言い換えればその分だけ、可能性があるクラブでもある。

フットボールクラブとしてのトップモデルでは決してないが、一方まったく別の魅力は持っている・・・
つまりそういうことになる。

そうしたクラブには、そうした環境に働きがいを感じる選手が必要となるものである。

中には大物選手の中にも、こうした野心的な職場に生きがいを感じる者もいる。
新進気鋭の若手の中にも、ステップアップとしてこのクラブを希望する者が出てくるはずだ。

財政状況がすこぶるよく、選手には実力派が揃い、何人かは世界のトップレベルでも通用するだけの選手もいる。
昨今のフットボール界の事情を考える限り、極めて恵まれた職場のひとつになり得ることは間違いないのだ。

その武器、生かさない手はない。

成功を繰り返し、自身を客観視できた運営ができていれば、自然とクラブのステータスは上がっていく。
いつの日かゼコのようなケースで、

「自分はこのクラブに残る。このクラブのために働きたい」

という選手も出てくるだろう。

成功を焦ってはいけない。

一歩一歩着実に、その時のマスト&ベストをこなすことを求めたい。
筆者が言いたいことは、この一点に尽きる。



現実的に言って、今シーズンのリーグ優勝、及びCL出場権の獲得は絶望的だろう。
ELにすら手が届くまい。
まずは残留が最優先事項だ。

ゼコの放出時を見誤った代償は高くついた。
彼の昨夏の残留は、本人にとって不幸だったし、チームにとっても大きな不幸だった。

だが、ようやくチームは正常化できるチャンスを得た。
国内及び国外から、複数の実力者(トゥンジャイなど、かなりアクの強い選手も含む)を獲得し、監督も更迭→交代の運びとなっている。

選手たちは皆、少なからず変化の予兆を感じ取っているはずだ。
チームを活性化するチャンスは十二分にある。

ここから先、クラブは過去なかった難しい舵取りを強いられることになるだろう。

実力者が多い半面、崖っぷちの残留争いのような修羅場を経験してきた選手は少ないだけに、一刻も早くこの降格圏を脱しなければ、後半戦ずるずると勝ち点を取り逃す試合が続く可能性も高い。
エリート集団が逆境に弱いのは、昨年のJリーグ、FC東京が無念のJ2降格を迎えたケースなどに明らかだ。

一方で、マクラーレンが組織の整備を十分に行えないまま退任したことを考えても、逆に今なら抜本的なチームの作り直しもある程度効くと捉えるべきだ。

物事のネガティブな側面には確固たる対処法を、一方でポジティブな側面を捉えて前向きな雰囲気を作りだすこと。
これはフットボール以外にもすべての世界で通用する、勝者となれる者の約束事である。

戦術面では、例えばジエゴを核として、徹底してその能力を生かすシフトを組み上げるのか?
ジエゴ抜きでも機能する、ただしジエゴが起用できたとしてもそれほど大きなメリットにはならない形に仕立て上げるのか?
あるいは、そのふたつを両立させるのか。
ジエゴをそもそも構想から外し、よりダイレクト思考のコンパクトなシステムとするのか。

興味は尽きない。

しかしそうした現場のポジティブな変化も、フロントが正しい選択をして、初めてもたらされるものであること。
この点はどうか、肝に命じて欲しいものである。


一時の栄華に酔いしれ、我を見失いかけた緑の狼。

今後彼らが、いかにしてその態勢を立て直すのか?
各セクションのスタッフの奮闘を、心から願うばかりだ。

<了>

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【2011/02/10 21:22】 | マネジメント
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お疲れ様でした!
黒猫
私も同意見です!
何より今のヴォルフスには、チームとして情熱を持って欲しいです。

歴史があっても金ばかりの成金チームでは誰も尊敬はしないし、プライドばかりあってもサポーターをないがしろにすればファンはついてこない。(どこのチームとは言いませんがw

間違いなく他のチームより経営状態は良いし、選手もスタッフも揃ってるので、今なら持ち直すことは可能だと思うのです。
ただここはブンデスリーガ、生き残ることは他のリーグより圧倒的に困難です。
監督すげ替えだけでチームが改善するなら、どこのチーム苦しんでません。
決して奢らず、でもプライドを持って頑張って欲しいです。

数回にわたってのヴォルフス評お疲れまでした。
個人的にはへーネスの野望の話なんかも聞きたかったところですがwそうするとバイエルンのもう一人のへーネスの話も必要ですかね。

それにしても白面さんの順序だてた理論構成と文章分解力には尊敬してしまいます。
プラス、ヴォルフスについて代弁して頂いた様で心より感謝いたします。
ありがとうございました!

読み応え有りましたね。
KKGT-R
歴史にあるどのクラブにだって、こういった危機があった訳ですよね。
これを現場・フロントがどう捉えるか。幸い金銭面の心配のないクラブなので、後は人間のハートですかね。

Jのエリートさんは降格してなお、社長のあの発言ですから(汗)


おぉ。。
lemistzuck
毎度ながら映画みた後のような気分になるねー。
ちょっぴり余韻に浸ってたいw

ブンデスって健全経営とかいわれてるけど、どーなの?って。
健全って経営面だけじゃないと思うんですよね。

なんかヴォルフスブルクって、ブンデスの縮図みたいな気がするw


ついでに、ファンハールやマガトのような古い考えの人間も好きじゃない。
そういう人たちの体質が選手やリーガ全体に与える影響って大きいと思うんだ。
あまりいい方に導いてくれるとは思えないんです。。


No title
junchang
サッカーをビジネスの観点で考えると選手の入替はやむをえないのでしょうね・・・・。私としては選手が頻繁に入れ替わるよりも旗印たる存在として長くチームに君臨して欲しい欲求もあるんですけどね^^

かつて大好きだった(今でもすきなんですけどね^^前ほどではなくなってしまいましたが・・・・)ミランは革命を起こしましたが金の使い方を間違ってしまい、それがサッカー界のスタンダードになってしまった印象が強くて今の落ち目も自業自得って感じがしてしまっています^^

こういった面もかなり矛盾してるんですけどね^^

コメありがとうございます
白面
お返事遅れまして申し訳ございません。
ようやく帰宅致しました。

>黒猫さん

現役サポさんにそう言って頂けるのは、考察ブロガー冥利に尽きますねw
ありがとうございます。

今回は出発直前になんとかまとめきりたかったのと、他に書こうと思っていることが山積みになってきたのを受けて半ば無理矢理納めた感もございますが(汗)

今後もこのクラブのことは、注意深く見守っていきたいと思っています。

>KKGT-Rさん

実は「強くなるのを焦るな」、はドゥンガの台詞の引用ですw
時間をかけてでも必要なピースをひとつひとつ埋めていかない限りは、なかなかお金だけかけても強くなれないのがフットボールの不思議。

それをフロントがわかってくれていないクラブは、自然と端々に無理が生じるものですね・・・
なかなかどうして、この業界不思議にうまく力が作用するようです(笑)

>レミさん

チームによりけりで、ヴォルフスブルクのように超優良経営のチームもあれば、シャルケのような火の車チームも、ザンクトパウリみたいな赤貧チームもあるのがドイツw

ぶっちゃけ楽しいです!
インテリスタでなければ、もっと見ていたところです(笑)

自分もファン・ハールやマガトは好きじゃないかなー・・・
一方で、自分が応援さえしてなければ、やっぱりああいうのもいてくれた方が自然と業界のバランスが取れるのです。

白面の好きな言葉は「中庸」。

清濁含めて一定以上許容し、拒絶できるようにしておかないと、特定の考えに偏向しちゃいそうで恐いからでしょうねぇ・・・w

>junchangさん

ヴォルフスブルクの場合、バンディエラが育ちにくい(そもそも市民が圧倒的に少ないのだから当然)という問題もあるので、育成には10年単位でお金と労力を注いでいかないと、これもなかなか改善されないでしょうね。
仰るとおり、クラブを背負って立てるような旗手は必要不可欠かと思います。

現在のミランは名だたるビッグクラブの中でも、最も育成に労力を注いでいないクラブのひとつですからね・・・(汗)

今後改善されることを自分も願っております。
イタリアの各クラブにはアヤックスやベンフィカのような凋落はして欲しくない、というのが本音なのです。。。

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(5)最大の癌は『フットボールカルチャー(感覚)』の欠如

これまで語ってきたような惨状が作り上げられた原因は、大きくふたつある。

ひとつはヴォルフスブルクというクラブにおいて、会長を含むフロント陣が、
自分たちのクラブが置かれている立場と状況を、十分に弁えていなかった
こと。

もうひとつは、彼らが
フットボールクラブのマネジメントの本質、及びこのスポーツにおける精神面の重要性
を真摯に考えていなかったためだ。


それも道理だろう。

何せヴォルフスブルクの役員・理事の多くは、メインスポンサーであり母体企業でもある、フォルクスワーゲンの重役ばかり。
言うならばこのクラブは、フットボールというスポーツを商う企業でありながら、

フットボールのど素人が運営している

クラブと言っても過言ではない。



幸いにして、彼らは決して馬鹿ではない。
天下のフォルクスワーゲンで役員クラスに上り詰めるほどの人物たちなのだから、経営者としてはすこぶる優秀だ。
他の似たようなケースとは異なり、自分たちから積極的に前にしゃしゃり出、チームをかき乱すような愚は犯していない。

が、それにしても所詮は素人であることに変わりはない。
車を売ることに長けてはいても、チームを勝たせる術を知っている集団ではないということだ。

この点を考慮すると、実にさまざまな辻褄が合うことに気付く。

例えばマガトやフェーに指揮権のほとんどを委譲したのは、自分たちがクラブ運営のノウハウをよくわかっていないことに起因するものであるだろうし、
往年のフットボールファンの間では名の知られた名伯楽、Dへーネスをマネージャーに招聘したのも、円滑なクラブ運営のため、フットボール界の常識に精通した人物が必要だったからに他あるまい。




クラブに属するすべての人が勝利する術を知っている、

真のビッグクラブとはそういうものだ


とは、フットボール関係者の間ではもはや常套句のように使われているが、現在のヴォルフスブルクは逆の意味でこの教えの正当性を証明しているかのように感じられる。


先にも述べた通り、彼らの本質はヴォルフスブルクの役員である以前に、フォルクスワーゲンの重役である。
それだけに彼らのマネジメントは、粘りに、したたかさに欠ける。

そもそもヴォルフスブルクというクラブに、これだけフォルクスワーゲンが資金や人材を費やしているのは、

チームの活躍によって、企業イメージのアップを図る

ことが至上命題として存在するためだ。

ゼコの確保に固執していた最大の要因は、おそらくここら辺にあるのではないだろうか。
成長・躍進をゼコと共に成し遂げることで、同選手をクラブの

広告塔

とする。
ヴォルフスブルクというブランドを世間に誇示していくために、ワールドクラスのストライカーは、確かに必要不可欠な人材であった。単純な戦力以上の意味を持つ。

他にこれまで述べてきたような、いくつもの理由が相乗効果で重なった結果とは思うのが、
それにしても上層部はゼコの放出を頑なに拒んでいた、決定的な原因はこれではないかと思う。



クラブはゼコ以外にも、以前にダレッサンドロを、そして昨夏にはジエゴを獲得したことからもわかる通り、このクラブは明らかに知名度の高い選手を欲している。

ただ実力があるだけでは足りない。
いわゆる“華”のあるスター選手の獲得を、虎視眈眈と狙っている節が端々に見受けられるのである。

おそらく最終的な理想は、レアル・マドリードやACミランのように、煌びやかなスタープレイヤーたちが織りなす華麗・豪奢なスタイルだろう。

彼らをふんだんに鏤めた、放っておくだけで人々の目を惹くチーム・・・
フォルクスワーゲンという巨大な企業の威光を世に示し、人々にそのステータスを実感させられるフットボーラーたち。
フロントの頭の中にあるのは、おそらくそんな集団の構築に他ならない。

一方でここ数年、レアル・マドリードが繰り返してきたような、ネームバリュー偏重でチームバランスを欠くような事態を避けなければなるまい。

ドイツブンデスリーガは、非常にタフなリーグである。
有名選手をふんだんに取りそろえたところで、チームが集団として円滑に機能しなければ、みるみる順位を下げていくこと。
彼らとて百も承知だろう。

だからこそ、フロントはへーネスのような専門家を必要としたのだ。
チームの構築理念は、まず勝てる集団を、次いで(一部を同時進行しながらも)人々の目を惹くチームを作っていく――といったところではないだろうか。

尤も、現在のところ、クラブの上層部=フォルクスワーゲンの重役たちと、へーネスや現場らフットボールの専門家たちの意思疎通・連携は、まったく十分ではないように見受けられる。

昨今の低迷、一貫性に欠けるマネジメントも、そうした部分の連携がしっかりと噛み合っていないことの影響が大きいのではないか――
と推察するが、これ以上は情報を収集しようがなかったため、実際のところはわかっていないことを白状する他ない。


どちらにしても確かなことは、クラブが現在ここ数年で、最も危機的な状況に陥っていること。

その原因を作った理由の、多くはフロントの振る舞いに端を発するということだ。

続く

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【2011/02/10 21:14】 | マネジメント
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(4)選手をひとつの『単位』として見た場合

●メディアの功罪

あるいはゼコのモチベーション低下を、連日のように移籍を騒ぎ立てた、マスメディアの功罪を糾弾しようというのか?
一部マスコミに対し、ヴォルフスブルクのフロントはメディアの問題を批判していた。

Ne,Ne,Ne.
それこそ行動が破たんしている。

ゼコの移籍金高騰に、存分にメディアを利用した貴君らの言えることではない。

筆者に言わせれば、メディアとはあくまで

現象

に過ぎない。
ことクラブとフットボーラー、監督コーチや協会らについて言えば、問題はそれをどう活用するか?
あるいは、悪影響を被らないよう距離を置くか・・・?
取れる行動は、この2択に集約される。

彼らはネタがなければ、自らネタを作り出してでも新聞を、番組を売らねばならない立場である。
それを把握し、あるいは“把握させ”、いかにしてうまく付き合っていくのか、または近寄らずに過ごしていくのかは、まったく当人たち次第だ。

好き、嫌いの問題ではない。
各国フットボールシーンのトップレギュレーションともなれば、メディアはこちらが望もうと望むまいと、必ず取材をしに寄ってくる。

ことプロフットボールクラブの関係者ともなれば、なんらかの形で“記事にされる”可能性から、完全に逃れることは叶わない。
後は自ら積極的に関わるか(例えそれがネガティブな関わりであっても)、どのように書かれようと我関せずと距離を置くか、ふたつにひとつしかないのである。



勿論、彼らの中にも好きでそうした記事、事実無根の虚言を綴ることを厭う者がいることは承知している。
しかし大衆の中にあってのメディア、群体として活動するマスコミがそうした性質から脱しきれないこともまた真理だろう。

彼らもまたプロだ。
プロである以上は、先にも述べた通り売れるものを作らなければならない。
モラルの尺度の差こそあれ、恣意的な解釈を加えて情報になんらかの味付けをしなければ、大衆は新聞を手に取ってはくれないのだから。

閑話休題。
ヴォルフスブルク側がメディアの悪性を嘆くつもりであれば、それはフロントと選手が相互理解の上で活動している前提があって、はじめて理屈の通る話となる。

だが、今回はそういう状況になかった。
メディアへの露出をコントロールする契約を詳細に結んでいたのであればまだしも、ゼコに対する取材を許しておきながら、その結果生じるクラブのアピール・知名度アップにメディアを活用しておきながら、メディアのネガティブな面だけを責めるというのは筋がまったく通らない。


○腐った『生もの』は一刻も早く取り除け

無論、クラブである以前に一企業として、ゼコ売買をビジネス面から考慮する必要はあるだろう。

ゼコは疑いようもない逸材だ。大舞台での実績こそ少ないものの、そのプレーの質の高さは誰もが認めている。
だからこそ、各地のビッグクラブが本格的に獲得を検討したのである。
1€でも高く売れるなら、とことんそれを追求する。
その思考自体は、至極納得のいくものだ。

だが、ビジネスの局面から考えても、ゼコの売買は失敗している。

最終的に今回、ゼコは推定2500~3000万ポンドでシティに買い取られた。
しかしこの金額は、当初ヴォルフスブルグが意気込んでいた価格には遠く及ばない。

筆者などに言われなくとも、ヴォルフスブルクのフロントはわかっているはずだ。
ゼコの売買、取り扱いを誤ったことを。よりよい条件で売却できる、そのチャンスを自ら逃したことも。

その代償は、今持って実に、本当に高くついている。



選手は生ものである。

ゼコは言わば、“腐ったリンゴ”のようなものだった。
夏が賞味期限ぎりぎり、それ以上置いておけばたちまち周囲の選手をも、チームもクラブをも腐らせるような状態だと言うのに、フロントはそこを見誤って彼をチームに留めた。

その結果を見るがいい。

ゼコがチームを去る直前、ヴォルフスブルクにかつて見られた闘志はどこにも感じられなかった。
まさに狼の如き、勝利の飢えたらんらんと輝く瞳をした選手はほとんどいなくなっていた。
あるのは倦怠感や焦燥感、危機感や責任感といった感情ばかり。

タフなシーズンを戦い抜くのに必要不可欠な、

フットボールをする喜び

が、今のチームからは見事に欠落している。

それもそうだろう。
キャプテンマークを与えられていたゼコがあの状態では、チームの士気などとても上がりようがないというものである。
フロントの失敗と前監督の負の遺産、その後遺症は今もって癒えていない。



ゼコの方もまた、不甲斐ないチームの戦いぶりに引きずられる形でパフォーマンスを、モチベーションを落としていった。
この悪しき循環を作り上げた、フロント及びマクラーレンの罪は重い。

頑張るだけでは駄目だ。
ただの作業では駄目なのだ。

試合とはつまり戦いなのだから、
戦場で最後に物を言うのは気力
である。

フットボールとは高度に技術化・組織化され、多くのルール=制約の元で戦う前提があるスポーツだけに、これだけでは何もできない。
が、それがなくても何もできないのも、この競技のもうひとつの真理と言える。

気力=モチベーション・パッションとは、まさにそういった類のものなのだ。

フットボールがマインドゲーム――
少なくともある一定のレベル以上の戦いになれば、肉体的な要素よりもむしろ精神的なアプローチが重要になる
――ことを考慮しなかった、ヴォルフスブルクフロントの眼力のなさを、我々はここに垣間見ることができる。

チームのために働けない状態になった選手をエースとして起用することは、チームとしてプレーすることを放棄することと同義だ。

なのに、ゼコの高値売却or残留にこだわって、クラブは最後まで迷走を続けた。

その妄執の結果が、欧州の舞台はおろか、いつ降格争いに巻き込まれてもおかしくない順位となってここに表れているのだ!


これをマネジメントの失敗と言わずして、果たしてなんと言おうか。

フロントが己の見識を改めない限り、今後チームの復活はない。

続く


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【2011/02/10 00:12】 | マネジメント
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No title
junchang
ops!
サッカー雑誌のコラムを見ているようです・・・・。
マスコミの大げさな言いようは確かに混乱を招いているとしか思えませんね!
また、クラブも選手達をその狂乱から守らなければならないのにそれが出来なかったのでしょうか?
うまく言っている時は気にもならなかったことがちょっとケチがついてしまうと膿を吐き出す傷の様に完治することなく切り捨てなければならない状況になってしまうのですね・・・・。

現在のサッカー界は注目度が高い分、メンタル的な面での選手の管理が過去に比べれば格段に難しくなっちゃってるんですね・・・・。

Re: No title
白面
楽しんでいただけたのでしたら幸いです。

変な言い方になりますが、

「メディアを飼い慣らせるかどうか」

もまた一流になるための条件になっているという気がします。
最近だと、レオナルドやモラッティ、ガッリアーニ辺りはうまくやっていると感じますね・・・

メンタルコントロールは現代フットボールの必須事項。
これなくして勝利はあり得ないと断言できますw

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